龍神の子どもたち
龍神の子どもたち / 感想・レビュー
モルク
村の大祭を重んじる田舎町谷津流に住む子供と、近郊のニュータウンに住む子供たちが中学で一緒になる。が、その溝は深い。ニュータウンの子は田舎の子をばかにし、自分達の新しい町、建物生活様式を自慢する。谷津流に住む主人公幸男はそんなニュータウンが羨ましい。夏休みの林間学校で災害が…。困難を乗り越え協力しあっていく子供たち。しかし大人は…せっかくまとまってきた子供たちも大人の都合で引き離されるのか。こういう町の様子は多々あるだろう。お互いに譲歩し融合することは確かに難しい。
2021/03/05
ゆみねこ
昔ながらの風習の残る集落・谷津流に開発の波が押し寄せ、対立する地元派とニュータウン派。夏休みの林間学校を襲う自然の脅威。極限状態に置かれた9人の中学生たち。自分で考え行動することの大切さを教えてくれる1冊。バブル期の少し前、首都圏の外れが舞台かと思われます。
2020/11/22
美紀ちゃん
地元住民によって大切にされてきた昔からの知識や風習はこれからの子供たちにも伝承していけばいいと思うけど、ニュータウンが出来て新しくきた人達の勢いの方が強かったからなのか、悲しい結果に。地域の習わしは大切にしたほうが良い。意味があるのだから。と、わかりそうなものだと思うけど、色々残念。子供たちは、生き延びるために協力しあえて良かった。
2020/11/24
さつき
今では遠くなった昭和、さかんにニュータウン開発が行われていた頃の物語。中学校に入学当初、出身小学校によって差異を感じることは誰でも少しは覚えがあるもの。でも、ニュータウンの子と昔から住んでいた家の子がここまで対立してしまうのは切ない話しです。鍵っ子とか林間学校とか郷愁を誘うようなキーワードが沢山登場しますが、ストーリーはなかなかシビアでした。
2021/04/15
Ikutan
次々都市開発が進む昭和50年代、黒蛇山と白鷹山の麓にある谷津流地区に隣接して、のぞみ野丘ニュータウンができた。古くからの伝統的な祭を行い、代々土地を耕して暮らして来た住人と新しく近代的な街にやって来た人たち。対立は大人だけではなく中学生にも。祭の描写などゆっくりモードの前半とうって変わって、林間学校で中学生たちが山崩れにあってからは、一気に緊迫した状況に。祭の描写がここで活きてくるとは。自分たちで考え、仲間を思いやり、逞しく成長していく子どもたち。感動的な展開ながら、現実的なラストに後味はちょっとビター。
2020/11/12
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