ゴールデンタイムの消費期限
ゴールデンタイムの消費期限 / 感想・レビュー
みっちゃん
身も蓋もない言い方になってしまうが、幼い頃から天才と持て囃されてきたが、今はその才能が枯渇してしまった若者たちと、人口知能をセッションさせるプロジェクト、という設定にそそられる。そしてそれにこんなシビアなタイトルをつける作者のセンスも凄い。人間はもはやAIには敵わないのか。そういう分野もあるだろう。でも私は860億個もあるという「灰色の細胞」にもまだまだ未知の能力があるのでは、と期待している。何よりも人間には「心」という数値では推し量れないものがあるではないか。
2021/10/11
nobby
つくづく平凡であることに安堵する…だからこそ好きなことを好き勝手に楽しみ、時には離れるも再びハマるのも自分次第。「天才」と位置付けられた故に、過度の期待を強いられるのは不憫そのもの…その評価が絶対的であっても感性によるものでも応え続けるのは極めて酷。その才能の枯渇を『ゴールデンタイムの消費期限』と表す残酷なタイトルをよそに、本編はハートフルな青春小説。AIとのセッションいや指導によって天賦の才は復活するのか!?そもそも曰く付きの産物は誰によるものなのか…やっぱり自分は思うまま楽しめる凡人でずっといたいな♬
2022/02/01
モルク
小4で小説家デビューをし、天才と賞賛された高校生綴喜。今は四年間も小説を書けずに苦しんでいたが、国が主導している「レミントン・プロジェクト」に11日間参加することになる。そこに集められたのは綴喜と同じような元天才たち6人。彼らの才能を人工知能を使って再生させるというものだった。共同生活の中から自らを見つめ進むべき道を模索する。天才であるがゆえの苦悩、焦燥感がよく出ていた。それぞれに下した選択は応援したいと思ったし、あたたかい気持ちになった。
2021/08/13
オーウェン
消費した才能を再び蘇らせる国家主導のレミントン・プロジェクト。元天才小説家だった綴喜も招待を受けるが、書いた小説にはいわく付きの過去が。綴喜をはじめ計6人がレミントンによってその才能を伸ばそうとするが、手助けという形なので当然反発が。この作品が提示しているのは、才能を伸ばさなくても別の道があるという点。 誰しも目指した道はあるが、それが実現しない方が大いに決まっている。 だから別の道を選ぶということは逃げではないと声高に叫ぶ。 全員10代なので清々しい青春模様が垣間見えるラストだった。
2021/04/29
萩
はじめは若者向けかも...と危ぶんだが、アラフォーでもじゅうぶん楽しめた。小学生で小説家デビューし、中学生でベストセラーを出版。天才小説家と呼ばれた高校生の綴喜くんは国の一大プロジェクトに招待される。そこには同年代のあらゆるジャンルの天才少年少女たちが集結していた。そのプロジェクトとは。もし自分に何らかの才能があって、登場人物の立場になった時どうするのか。「自分なら」と何度も立ち止まって考えた。終盤はもう少しインパクトが欲しかったし、題名はあまり好みではないが全体的には爽やかな青春ミステリーとなっている。
2022/11/01
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