信長、鉄砲で君臨する
信長、鉄砲で君臨する / 感想・レビュー
旅するランナー
「鉄砲伝来、以後予算(1543)増える」の語呂で年号覚える程度でした。この時代を変革した出来事を掘り下げて、へぇ~っと感心させる小説。種子島の村長織部丞が鉄砲を持ち込みポルトガル人を猛太·むしゃくしゃと呼んだり、紀州根来寺の鉄砲を橋本一巴が尾張に持ち込んだり、堺の商人今井彦右衛門が硝石売買で儲けたり、埋もれた歴史をゴロっと掘り起こす。最後は、鉄砲を普及·進化させた張本人信長が、その流れに付いてけないという皮肉。惜しむらくは、あと1、2発おっ!と思わせるエピソードがほしい。歴史に名を残す小説になれたのに。
2022/10/14
starbro
門井 慶喜は、新作中心に読んでいる作家です。 戦国時代に革命を起こした新兵器”鉄砲”を巡る連作短編集、面白くなくはないですが、作品に鉄砲の重さは感じられませんでした。 https://www.sun.s-book.net/slib/slib_detail?isbn=9784396636197
2022/03/14
パトラッシュ
松本清張の『絢爛たる流離』のように、鉄砲という武器が有名無名の人びとと巡り会っては歴史を変える判断や動きをもたらす姿を描き出していく。種子島蒔堯が南蛮商人から鉄砲を購入し量産化しなかったら、歴史は全く違っていた。刀を捨て鉄砲撃ちになる人がいたから部隊が編成され、死の商人が暗躍したおかげで堺が繫栄し、その全ての成果を吸収した信長は巨大な安土城を建てるに至る。まさに「鉄砲から政権が生まれる」を地で行ったが、明智光秀の鉄砲隊の前に死ぬ。敵を撃って支配権を確立した信長も、撃たれる側に立てば無力な人でしかなかった。
2022/04/04
とん大西
面白い!種子島に伝わった火縄銃は当時のヨーロッパの最新鋭。武器なのかオブジェなのか。戦術価値は有るのかないのか。トレンドに乗り遅れまいと寺社勢力が、商人が、大名小名が…競う。そして信長が出会った。天下布武は鉄砲の大量購入と軍団の編成に因るところは大きい。が、信長と鉄砲の出会いが遅ければ…。今井宗久が鉄砲商いに敗れていれば…。信長の天下はなかったといえるのか。歴史のifを感じられます。初めて目にしたのは種子島の織部。死世観や世界観がぶっ飛んだでしょうね。お気に入りは第1話「伝わる」と第3話「儲ける」です。
2022/03/13
のぶ
日本の戦国時代で鉄砲が、世の中をどう変えていったかを興味深く読む事ができた。種子島にポルトガルから二梃の銃が伝来した事が物語の始まり。この本、タイトルに信長の表記があるが、最終話になるまで信長はほとんど登場しない。それまで人力と弓矢のみで戦っていた合戦を鉄砲がどう変えていったかを、話を進めるごとに経緯を伝えていく物語。鉄砲は作る事ができても、火薬がなくては役に立たない。木炭、硫黄は手に入るが硝石が日本にはない。その難局をどう解決していくかあたりが面白かった。門井さんらしいストーリー展開の一冊。
2022/02/22
感想・レビューをもっと見る