楠本まき選集 1 (Feelコミックス)
楠本まき選集 1 (Feelコミックス) / 感想・レビュー
ぐうぐう
『Kの葬列』シリーズを収録した選集1巻。モルクワァラを回収する男がアパァトメントの階段を登る「螺旋」からして、読者を翻弄する。モルクワァラとは何か?と考える間もなく本編が始まるのだが、いきなりKの葬儀と読者は出くわすことになる。Kはすでに亡くなっており、死体もないのだと言う。その幾重もの喪失がさらに読者を翻弄していく。壊れたエレベーター、空き部屋、人形、そして指輪と、ここには中身がからっぽなアイテムに溢れている。喪失をめぐる物語は、「なぜ」が「どこに」へと変わり、やがて「誰が」に行き着く。(つづく)
2022/05/21
R子
読メで知った本。漫画だが文学的な香りが漂っている。「螺旋」のモルクワァラ回収人と少女のシーンが好き。「私/とても困難なことになっていて/ほらまた手が溶けてしまった」。死体は何処にも無いのに、アパートの住人の誰もがKの死を知っている、という奇妙な設定の「Kの葬列」も好み。
2013/05/11
よしゆき
こういう話と画をかける人が日本人であったことに感謝。
2013/03/18
みみみん
昔読んだ時はピンとこなかったんだけど、今読むとストーリーの構成がとても好き。アパートの住人達がある人物の死体がないまま葬儀を執り行って、その死の要因も住人達それぞれの視点でぐるぐると変わる、っていうとミステリーに思えてくるけど、ただひたすら不思議な雰囲気の漫画。繊細なタッチで描かれた独特のイラストも昔と変わらず好きなまま。今見るとコマとか文字の配置や構図が広告のデザインみたい。これがまた不思議な印象の漫画になってて、眺めてるだけでも面白い。
2021/08/05
ますりん
遠い昔に誰かに貸したまま今も行方不明の「Kの葬列」。神楽坂のかもめブックスでたまたま見つけて猛烈に読みたくなってしまい、購入。いやはや懐かし。四半世紀ぶりに読むと、ミステリ仕立てなんだけど、天賦の才(自称他称は別として)を持つ麗人と、それに魅せられた男というモチーフは後に発表される「干からびた胎児」に受け継がれてます、と読み返して思い出しました。
2015/07/02
感想・レビューをもっと見る