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巴

作家
松浦寿輝
出版社
新書館
発売日
2001-05-01
ISBN
9784403210747
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巴 / 感想・レビュー

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圧倒された。感想を述べようとしても、それしか言いようがない。性的な美しさと、混沌と、世界とが絡み合っている。つるつると違和感を感じずに入ってくる文章だけれど、飲み込んで理解するのにはとても苦労する、質量のようなものを感じる作品。詩で萩原朔太郎賞、小説で芥川賞。言葉を使う技術が違う。普段僕は、性描写のある作品は苦手で、見つけ次第読むのをやめてしまうのだけれど、この作品は気にせず読めてしまった。何故だろう。やはり圧倒されて、苦手を感じる余裕もなかったのかもしれない。

2016/10/15

salvia

全体に詰め込み過ぎかなと思うのだけれど、どうしてもはみ出してしまう男の心理描写や、根津界隈や暗渠などが生命を持つ化け物のように描かれている面白さで物語に引き込まれていた。退屈だからと流され、女を適当にあしらっているつもりが逆に騙されてばかりいる主人公。その自嘲を読むうちに、美しく諧謔に富む文章だけでなく、ダメっぷりを読みたくて松浦作品を読んでいるのだと気付いた。

2020/12/01

hirayama46

粘っこくてどろどろとした、それでいて美しい文体でつづられる性愛と暴力の物語。地べたを這って生きる人々の息遣いが感じられる小説でした。良かった。

2016/12/14

アレカヤシ

女に喰われる男(主人公)のイメージが、雌カマキリに象徴されているところ。自分の家の玄関先の朝顔の花が、誰かに、残らず毟り取られたところ。著者の小説には、妙にグロテスクな映像がでてきて気持ちいい。橋と、その下に流れる川。そこは、橋のどちら側にも属さないどこでもない場所。おしりがスースーするようなこの寄る辺なさも気持ちいい。(脅えという感情はひとことで言うなら、自分の中に自分でないものがいついかなるときにも侵入して来かねないという不断の慴れのことだろう)P63 情動失禁。けざやか。

2018/12/31

遠藤 悪

虚実ないまぜの最後まで謎が解けない、いや、解けないのが当たり前の、善人が1人もいない物語、と単純に言うことはできない。 東京の土地で逆さ巴の字を書いて何かをする(何だったんだ)なんて…、「鋼の錬金術師」をちと思い出した。ほんの少し。 デティールがすごくいい。

2017/05/29

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