幻色江戸ごよみ
幻色江戸ごよみ / 感想・レビュー
美登利
宮部さんの時代小説、4冊目かな?これはこよみというタイトルが付いてるように12ヵ月分の江戸の庶民のお話し。短編だし、こんなところで終わるの?という呆気なさもあるし、不思議な話しや、とてもいたたまれない「紅の玉」など貧しい暮らしの中で何とか生きている人々が這い上がるチャンスは無いものなのか?切ないお話しが多かったです。その中で「器量のぞみ」は良かったな。心がホッとしました。短い文章なので、もっと続きが読みたいと思わせるのが、宮部さんなのだろう。
2017/03/23
nico🐬波待ち中
江戸下町の四季折々を描いた短編集。市井の人々の暮らしぶりは決して楽とは言えず慎ましやかなもの。その日常の中には終始仄暗さがつきまとう。子を思う母の無念さ、持ち主の秘密を封じ込めた行灯などなど、夢とうつつが重なり合う摩訶不思議な世界観も乙に思えた。どれもこれも余韻が残る終わり方で、物語の続きに思いを馳せずにいられない。宮部さんのこうした江戸下町の物語は、いつも切なさをそっとにじませるものが多いから好き。市井の人の寂しさ直向きさ無念さを書かせたら右に出る者はいないのでは。宮部さんの上手さが光る短編集だった。
2023/07/15
てんちゃん
宮部さんは人気作家だけど、「ソロモンの偽証」しか読んだことがありませんでした。「ソロモン…」とは全く異なるタイプの作品でしたが、楽しく読み終えました。「器量のぞみ」が気に入りました。時代物、短編もお上手とは、器用な作家さんなんですね。自分から手に取ることはないかもしれませんが、イベントを通して少しずつ読みたいと思います。
2017/07/19
さく
四季折々の短編12編。妖が出てきたり、ぞくっとしたり、どの短編も面白かった。最後の「紙吹雪」が良かったな。
2017/10/29
Tanaka9999
1994年発行、新人物往来社の単行本。12編。短編集。歴史読本などに掲載されたものの単行本化なので、いくつかは既読。怪異を思わせるものもあるが、登場人物の語りの中の怪異なので、実際はどうなのかは分からない。どちらかいうと庶民の暮らしを描いた連作という感じである。心地よくなることもないかわりに、極端におそろしくなることもない、そんな作品集。少し笑えるオチの作品が多いかもしれない。
2024/02/23
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