KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

ぼくらが出合った戦争: 漫画家の中国引揚げ行

ぼくらが出合った戦争: 漫画家の中国引揚げ行

ぼくらが出合った戦争: 漫画家の中国引揚げ行

作家
石子 順
出版社
新日本出版社
発売日
2012-08-01
ISBN
9784406055000
amazonで購入する

ぼくらが出合った戦争: 漫画家の中国引揚げ行 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

へくとぱすかる

子どものときに中国引揚の経験のある漫画家は、不思議を通り越すほどに多い。ちばてつや、森田拳次の両氏の体験を中心に、「中国引揚げ漫画家の会」について語られる。赤塚先生も、末の妹が母の実家について直後になくなったことを泣きながら森田先生に語ったという。中国で育った経験が作品に反映しているとの指摘も。引揚げの悲惨さは今もよく語られるが、中国側も内線の混乱の中、実は日本人の帰国に尽力していたと、新しい資料で明らかになったという。

2019/06/14

更紗蝦

「中国引揚げ漫画家の会」のメンバーのほとんどが男性で、子供の頃に引揚げた人たちばかりで占められており、例外は20代の時に引揚げた上田トシコさんだけというのは、「もともと女性漫画家が少ないから」だけが理由ではなく、大人で引揚げを経験した人は家族を生き延びさせるために大なり小なり加害行為をしたか、もしくは加害行為を見て見ぬふりをし、特に子持ちの女性は我が子を守るために心を鬼にしなければならなかったという事情があったせいではないでしょうか。「自分は加害者だ」という自覚があればあるほど、過去は忘れたいはずです。

2018/05/22

たくのみ

ちばてつや、古谷三敏、赤塚不二夫、上田トシ子、北見けんいち、バロン吉本、林静一、満州から引き上げてきた漫画家たち。短いエピソードに万感の悲しみが込められている。残されたり、離れ離れになってしまった者たちへの思い。引き上げの時24万人とも18万人とも言われる行方不明者。遺骨すら発見されない人もいた。8月15日の後に起こった地獄。人の豹変に驚き、弱い者の悲しみに打ちのめされ、死んでいったものへの負い目。ペーソスやギャグの根底にあるものが見えたような気がする。

2016/08/21

桐一葉

最後の最後で林静一さんの母子の絵で胸が苦しくなった。どれだけ多くの国民が理不尽なことに振り回されたんやろうか。たった一人の人間の命をどれだけ奪って奪われたんやろう。また戦争したら今までの戦争で失ったもの以上のことが起こる。そんなんではすまされへん。

2015/07/12

オサム

ちばてつや氏の引き揚げ記はいろいろな形で読んではいた。だがこうして12人もの-それも子供時代の-体験をまとめて読むと、改めて胸が詰まる。林静一氏の母子の絵には涙を堪えきれなかった。 私の父は広島での被爆者である。父の名前が慰霊碑の下に納められた年の慰霊祭に参加した日、明らかに広島の空気はいつもと違っていた。被爆当事者たちの放つオーラだった。どんな形であれ戦争に関わった方たちには、伝えきれない思いがあるのだろう。我々はせめて、この表現者たちの思いを受け止めねばならない。 ウクライナ…パレスチナ…切ない。

2024/09/26

感想・レビューをもっと見る