上京する文學: 漱石から春樹まで
上京する文學: 漱石から春樹まで / 感想・レビュー
くさてる
かつて「上京」は特別な重みがあることだったということが良く分かる。明治から昭和に至る文豪にとっての上京物語に焦点を合わせた一冊で、面白かった。昔の日本は、とても広くて文化が分かれていて、地方と東京の距離はとても遠かったことが実感できる。当時の文学を読む時にまた違った感覚で読むことが出来る可能性を与えてくれる一冊だと思った。
2012/11/21
kuukazoo
夏目漱石から村上春樹まで18人の地方出身の作家達の上京物語。昔から東京一極集中という図式は変わっていないのね。それももう限界と思うけど。それはさておいて、地方からやってきたが故に東京出身の作家とは違う視点から東京を捉え、書き、それが今の人々を惹き付ける何かを持っている、という著者独自の着眼点が面白い。江戸川乱歩の章が興味深かった。
2018/04/02
いざなぎのみこと
東京は文学の源であり、多くの作家がその灯火に導かれ上京した。ある者は借金して放蕩三昧、ある者は犯罪者の心理を隠しながら、またある者は故郷を思いながら陸橋に登ったりと様々な理由、境遇の元に。地方から見た東京は夢の地、また希望の地であり、輝く未来の象徴であるのでしょう。東京生まれの自分も、知った地名が名高い作家の由来の地であることが知れたりして大変興味深かったです。仕事柄こういう知識を集約していたりしますが、まだまだ奥深い。いい一冊でした。
2018/02/27
peerin
18人の作家のそれぞれの時代、それぞれの東京。東京について書いているのが地方出身者だという作者の指摘に感心。ただならぬカクゴのヒト、『東京』が作家たらしめたヒト、しっかりオトナになってから上京のヒト…。東京はキーワードであって18名の作品を改めて読みたくなる「読書のすすめ」。放浪記をよんで、新宿の四の坂を登ってみよう。帰省の度に考える私にとっての上京。
2013/01/05
hideiz
東京なんて田舎者の集まりだ、とかよく耳にするが、上京をモチーフにして時代やジャンルをまたいで作家論作品論を展開する本。興味深いと思った。江戸川乱歩は引越し魔みたい。東京の地理が全くわからないので、想像しながら読んだ。
2019/12/11
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