スターリン秘史―巨悪の成立と展開〈6〉戦後の世界で
スターリン秘史―巨悪の成立と展開〈6〉戦後の世界で / 感想・レビュー
しんすけ
1945年からスターリンの死までを扱う。後半は朝鮮戦争勃発の要因を明らかにし興味深い。オーエルのビッグ・ブラザーはこの時期前半のスターリンがモデルになっているとも云われるが、スターリンの悍ましさは確かにビッグ・ブラザーを彷彿させる。読書中に何度もスターリンとビッグ・ブラザーが重なり仕方なかった。スターリンの欲望が東西冷戦を生み出し、アメリカを覇権主義という名の侵略国家に仕立て上げる一因となっていく。著者と意見を異にする箇所もあるが昭和前史を世界史から観る上でも多くの日本人にこのシリーズは読んでもらいたい。
2016/10/20
kadoyan
圧巻ですね。戦中戦後の混乱のなかの世界史上の謎、スターリンが君臨するソ連に関わる世界のとらえ方も大きくかわる解明が次々。スターリンのソ連に大きな影響を受けた社会主義者として、その害悪を余すことなく叙述するその探求の深さと責任の自覚に、読む側としても覚悟が問われる気がした。
2016/03/22
浮草堂美奈
小説の資料に。
2016/07/10
ひろゆき
第二次大戦後、スタ-リンは資本主義との共存あり得ぬと考え、すぐさま第三次世界大戦に備える。そのため、アジアに第二戦線をつくりアメリカを疲弊させ、東欧社会主義の安定までの時間稼ぎをするべく、朝鮮戦争を画策、自らは表にたたず、毛沢東の中国を戦闘正面に引き入れる。そのあたりの、あれこれ。毛沢東のスタ-リンとの駆け引きがなかなか毅然としていて、それなりにさすがと感じる。著者、八十半ばでの膨大な著作の継続は圧倒的な力だが、その巨悪に振り回された人たちがいて、それを防ぎきれなかった組織の問題を何よりも書いてと思う。
2016/06/02
yo yoshimata
読み応えのある連載でした。秘史ともいうべき不思議なスターリンの振る舞いも、スターリンの覇権主義の邪悪さまで突きつけると、謎が解ける、という解明の連続です。今日でも、科学的社会主義のイメージの多くが、「スターリン時代の中世的な影」をひきづっているだけに、こうした本格的な実態解明が力を持つと思いました。科学的社会主義のルネサンスの一翼として、大事にしたい研究です。
2016/03/11
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