少年たちの戦場 (文学のピースウォーク)
少年たちの戦場 (文学のピースウォーク) / 感想・レビュー
shiozy
『ズッコケ三人組』の著者、那須正幹氏の最新刊である。「86平和の夕べ」で彼の講演を聞いての購入である。三歳の時、広島で被爆した経験のもとに「戦争」を問う。「戦争」を問う、と言ったとき、我々は「反戦」をイメージする。しかし、本書はそうではない。戦争に加担した少年たちの姿を描くのだ。四つの短編集なのだが、登場する少年兵は、高杉騎兵隊員であり、会津戦争での少年兵であったり、満州義勇軍の少年であったり、沖縄戦の学徒動員生であったりするのだが、共に主人公は13から15歳の少年たち。中学生に読んでほしい一冊である。
2016/08/28
杏子
戦争を少年たちの目線から描く。戊辰戦争、満蒙開拓団、沖縄戦と、今まで知らなかったことが多数で、学校で習ってこなかったことが本当にたくさんあるのだと思った。教科書を読んでいるだけではわからない、等身大の登場人物たちによる手記のような本書はそれを補ってくれること間違いないだろう。ひとつひとつの出来事を見れば、それらはみな悲惨で、あってはならないことなのだが。でもそれが本当に起きたことなのだということを認識しなければ。ほっておけば知識はすたれていくばかりなのだから。
2016/08/19
みー
題名通り、少年達が刈り出され、武器を持ち戦わざる得なかった時代を描いた短編集。大人の不甲斐なさを感じ、憤りすら感じる。全ての時代において子供達は、大人の起こした戦に、ただただ、巻き込まれているだけなのだから・・。その戦いの背景や、思惑など子供には分る由もなく・・。子どもを持つ身としては、今後二度と、このような時代を繰り返すことは断じてあってはならないと思う反面・・地球のある場所では、今も子供が武器を持ち、戦いに身を投じている現実に胸が痛い・・。
2016/12/28
スターライト
明日が終戦記念日というタイミングで、本書を読むことになった。戦争を扱った小説というと第二次世界大戦に関するものという意識があったが、本書には幕末の動乱の時期に焦点を当てた二篇も含まれる。計4篇を収録。いずれも戦争などなければ普通に学校に行っていたようなティーンエイジャーが主人公になっていて、声高に反戦を叫ぶのでも戦争を美化するようなところもない。そこには理不尽な状況にもかかわらず、家族や友人を気遣い、戦いにまきこまれていく少年たちの姿がある。きな臭い現在だからこそ、こうした作品を読む価値がある。
2017/08/14
カヤ
四人の少年の、それぞれの時代の戦い。戦争は、ひとつだけじゃなくて、いろいろな時代にあったんだと改めて突きつけられた気がした。
2017/05/22
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