だれかのことを強く思ってみたかった
だれかのことを強く思ってみたかった / 感想・レビュー
あつひめ
前回から4年半ぶりで再読。この何気ない時間を切り取った写真、一枚一枚に、その瞬間をそこで生きている人が、いつかどこかで出会った人、景色のような懐かしさを感じてしまう。心の奥底がムズムズするような…。ページを捲るごとに、今の自分から遠ざかるような錯覚。知らない町に一人飛び込む…家出初心者のような気持ちになった。私の記憶の中にも、パチリと切り取った東京の景色が蓋をしてもう出てくることもないように埃を被って眠っている。誰にも触れさせない…記憶。
2014/12/13
あつひめ
目にしたものをそのままの姿でデコデコ飾らない写真。思い出は時を重ねるごとにふやけてちぎれて・・・たぶん原型を留めていない。自分の都合のいいように美しく組み立てなおした記憶の形・・・。実際に手にした幸せと手にしたかった幸せがごちゃ混ぜになりながらゆるりゆるりと時の間を流れている・・・そんな感じの作品。
2010/06/12
Heart
角田光代さんの文章と、佐内正史さんの優しくて綺麗な写真がたくさん詰まっている一冊*当時の時代だからこそ醸し出せる綺麗な風景がたくさんで、見ていて癒された。(*´ー`*)今では見られない風景もあるのかなと思い、途中寂しくなったりもした。『父と歩いた日』『東京』印象的*胸に響く文章もたくさんあった。また再読します。(*´ー`*)
2016/04/01
calaf
写真付きのエッセイ集?エッセイ付きの写真集?どちらかは分かりませんが (^_^;;; 「見なかった記憶」せっかく出かけたのに休業日で入れなかったり見れなかったものって、確かに記憶に残るものかも。。。
2014/09/06
ミツ
佐内正史の写真と角田光代の掌編による作品集。 “東京”という場所が持つ数多の記憶を切りとったそれぞれの作品はまるで数ミリの水滴のようで、その小さく短かな一瞬の中に世界の全景が写し出されるように、ある人の一生という膨大な時間や東京の巨大な都市空間が薄く淡く、けれども確かな普遍性を持って描き出されている。 そこでは確固たる私という意識は曖昧になり、東京が私であり、私が東京であるような、寄る辺のない不安だけが広がっている。良作。
2011/03/05
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