メメント
メメント / 感想・レビュー
うわじまお
想う(死を)。人間が生まれて決まっている唯一のこと。日々、それを忘れて過ごせている不思議。そして、誰も死後のことは知らない。宗教、生活、政治、国家、家族、仕事など多様なテーマを通じて森さんの考えが書かれた一冊。考えさせられました。
2018/12/18
Shimaneko
森達也版メメント・モリ的なエッセイを期待して手に取ったものの、テーマが散漫で話題があちこちに飛ぶうえ、日々の雑感の垂れ流しに近く、すんげー読みづらかった。雑誌連載でその時々読む分にはいいかもだけど、「単行本化に際して、大幅に加筆・訂正」してこれかいって感じ。結局印象に残ったのは、律儀な伊坂幸太郎のエピソードと、極めて個人的な「池田くんの思い出」のみ。こーゆーのをもっと読みたかったよ。
2014/11/24
なつ
今まで読んだ中で一番上手いエッセイストは向田邦子だと思う。起承転結が明確で、文中に張った伏線が必ず最後のオチに収斂していく。森達也はその対極に位置し、話が展開しっ放しになることもしばしば。ただ、向田邦子の作品はある意味完結しすぎており読者が自信の考えを展開する隙間があまりないのに対し、森達也は欠落している部分が多すぎて読み終えてから心にいろんなひっかかりが生じてしまう(計算づくだとしたら思うつぼである)。・・・続く
2011/08/14
咲
先日、知人から「現代史はいいぞ」と勧められた。その勧め方の軽さが、現代史というものの重みとチグハグで愉快だった。本著に出てくる高校教育の現代史時間切れ問題のとおり、私の教育からも現代史が抜けている。小説がさまざまな解釈を赦し、それによってこそ経年の厚みを重ねながら名作となるのと同様に、歴史もまた、無理に事実を不変化するのではなく、主観や解釈ごとまとめて次世代に受け継ぎ、時代に揉んでもらうことが豊かさなのだろうと「思う」。わからないことに怯えず、虚実の相互侵食をそのままの形でメディアにのせようともがく作者。
2022/11/09
あきこ
森さんは勇気のある人だ。今回は「死」をテーマにしたものだが、一言で死といっても色んな見方があるものだ。身近なペットの死。唯一作者の普通の人さが滲み出ていたし、素直に共感した。911のこと、ナチスのユダヤ人虐殺など、現実離れした大量の虐殺。そのとき人間が自然な流れで人を殺してよい、と思ってしまう恐ろしさ。北朝鮮の拉致事件に対する不自然さへの発言など世間を敵にして構わないという意気込みが潔くて好きだ。もっと作者の声が世間に届くといいのにな、と思いながら読んだ。
2012/10/04
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