リラを揺らす風
リラを揺らす風 / 感想・レビュー
あつひめ
リラの香りや美しさがかえって息苦しさを感じてしまう。狭い町の中、よくここまで生きながらえたものだと逆に感じてしまう。まるで人には無関心な都会での出来事みたい。寂しさが人を変えてしまう、悪の道に走らせるとも違う。自分の事をただ受け止めて止めてくれる人を求めているようだ。ところどころに、はるの声が響く。なんでみっちゃんは働かないの?その言葉は鉛の玉のように痛いはず。はるを救おうとする手は伸びている。わかっていてもそこに留まれないのは、本来の心休まる居場所を体験したことが無いからかもしれない。小樽の錆色の空。
2013/03/31
nyanco
序文に彼女たちが何をしたかが書かれているので、結末は解っています。どうして彼女たちがそれを選んだのか、そうせざるをえなかったものは何か…が描かれると思っていたのですが自堕落な選択ばかりだった彼女たちに全く共感する部分がなく、彼女たちの生い立ちや暮らしについても同情の余地すら無い。 どうやら実際にあった事件を元に書かれているらしいのですが、志穂さん、何故こんなの書いたのかな…気分が悪いだけの読書は久しぶりです。志穂さん、好きな作家さんだったのでとても残念です。続→
2011/04/26
ツバメマン★こち亀読破中
小樽、依存しあい堕ちていく二人の女性。窃盗、暴力、売春、そして裕福な家庭の小さな女の子を誘拐し身代金を要求する…。冒頭に二人が誘拐犯になることが明かされているからか、重苦しい気持ちで読み進めるしかありませんが、人間のある種の一面を見せられているようで、決して読むのをやめようとは思いませんでした。
2023/05/04
おーしつ
小樽・札幌が舞台。ちょうどライラックの季節。ということで期待して読んだのですが・・・ 途中でよっぽど投げ出そうかと思いました。 こんなひどいもの書く人じゃなかったのに<谷村志穂。 読後、この気分をどっかで味わったなあと思ったら、去年「死刑台のエレベーター」のリメイクを観たときでした。 帯の「傑作犯罪サスペンス」とか「衝撃の長篇ピカレスク・ロマン」とかも片腹痛いとしか言えない。
2011/06/05
aocchi
人が生きていくためにはお金が必要だが、お金を稼ぐ術を理解できないまま成人を迎え、性同一性障害と知的障害を抱えた幼馴染の女性二人が共依存の関係を続ける。一方は優しくされたほんの少しの経験にすがり、もう一方は依存できる存在に依存して際限なく落ちていき、坂道を転がるような勢いで犯罪に手を染めていく。クルマ屋で裕福そうな子供を見かけた時のはるが抱いた思いがとても怖い。普通に生活している人が犯罪に巻き込まれる不安感に一度本を閉じてしまった。どうにも読後感がよろしくない作品だった。
2024/09/28
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