クスノキの番人
クスノキの番人 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
いつもながら上手いものだなあと感心する。一見したところ荒唐無稽なクスノキの伝承が、物語が進むにしたがって次第に空想が現実に近づいてゆき、最後はとうとうリアルな現実に到達するのだから。しかも、それはなかなかに感動的であったりもする。物語の構造もまたそうだ。最初は2本の線路が用意されている。一つは読者を巻き込んでの、クスノキの謎の解明。そして、もう一つは主人公である玲斗の成長物語である。この2つの線路がやがて一つに収束していって、最後はめでたく完結する。2つのエピソードの扱いもまた巧みに物語の展開に⇒
2023/06/26
starbro
新型コロナウィルス対策購入シリーズ第七弾、東野 圭吾は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者作家生活35周年記念作品は、クスノキ・スピリチュアル・ファンタジー・ミステリの青春・成長譚の感動作でした。 https://www.j-n.co.jp/kusunokinobannin/
2020/04/18
パトラッシュ
ほとんどイヤミスに近かった初期作品とは別人のような変わりようのファンタジー。人の想いを伝える神秘的な力を持つ樹木というテーマは、少年アーティストのモザイクが中心となる飯田譲治・梓河人『アナン、』を連想した。誰もが癒される奇蹟が起きるクスノキの謎は一切解明されないが、リアルを拒む世界を読者は堪能し自分も癒される幸福な数時間を味われるのだ。復元された喜久夫の曲が周囲に与える影響をテーマにしても作品がひとつ書けそうだ。それにしても最近の東野作品には、不倫や托卵の子がしばしばメーンキャラとして登場するのはなぜか。
2020/07/01
うっちー
またまた、新たな『東野ワールド』ができました!
2020/03/20
bunmei
『ナミヤ雑貨店』の路線を継ぐ、心温まるファンタジー。怜斗が任されたクスノキの番人の役割や祈念の意味を明かさず、謎に包まれたまま物語を進行させ、読者の興味を引き付けるあたりは、さすが東野作品。クスノキの祈念に纏わる様々な人々との人間関係や心情描写も大変わかりやすく描かれており、後半は一気に物語に引き込まれます。職場を解雇され、罪を犯した怜斗。留置場行きとなる所に現れた千舟によってクスノキの番人を務めることに…。クスノキに宿る神秘の力とその番人として、そして、祈念する人々の切ない思いが絡み合う奇跡の物語です。
2020/04/20
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