カレーの時間
カレーの時間 / 感想・レビュー
starbro
寺地 はるな、5作目です。王様のブランチBOOKコーナーで紹介されたので読みました。カレーを巡る祖父と孫の物語、中辛位の佳作でした。 私はB級グルメなので、汎用のレトルトカレー(中辛)は食べません🍛🍛🍛 https://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-53806-8
2022/07/16
ヴェネツィア
寺地はるなは初読。読む前の予想は、重松清の女性作家版だろうかというもの。読後の結果は、当たらずと言えども遠からずというところか。万事に優柔不断な「ぼく」の一人称で語られる物語。人は誰しも生まれてくる時代も環境も選べない。祖父にとっての幼少期から少年期のそれは、なかなかに過酷なものであっただろう。彼の価値観は昭和のしかも半ば戦前型のそれである。一方、「ぼく」のそれは今時の青年の持つ価値観だろう。「ぼく」は、そんな祖父を鬱陶しくも思い、同時に仕方ないとも思っている。二人の価値観が交わることはとうとうなかった。
2024/11/20
さてさて
祖父が苦手という二十五歳の桐矢が、『カレーのルーやレトルトカレーのメーカー』である『ピース食品』に一生を捧げた祖父・義景と一つ屋根の下で暮らす姿が描かれたこの作品。そこには”終戦後と現在、ふたつの時代”が並行して描かれるからこそ見えてくる奥深い物語の姿がありました。美味しそうなカレーの描写に食欲が強く刺激されるこの作品。祖父と孫という二人の関係性を微笑ましく描いていく寺地はるなさんの上手さに魅了されるこの作品。『カレー』という料理が二つの時代を紡ぐ物語の中に、人のあたたかい感情を見る素晴らしい作品でした。
2023/08/20
まちゃ
戦後に貧しい幼少期を過ごし、高度経済成長期に食品会社の営業として働いた、頑固で不器用な祖父・小山田義景と、自分の世界を快適に過ごすことに価値を置く孫・佐野桐矢。二人がカレーを通じてお互いを理解していく家族の絆の物語。いい話でしたが、それほど感動はありませんでした。祖父の秘密がね。早くきちんと娘たちに話しておけば、別の家族の形ができただろうにと。
2022/07/25
kotetsupatapata
星★★★★☆ 派手などんでん返しも無く、涙で心の泉が満たされる事はありませんが、ありふれた家族の日常を、独特の比喩を交えながら紡いでいく寺地はるなさんらしい1冊でした。 遮二無二に不器用にしか生きられなかった祖父の思いと、何か達観して全てを冷ややかに見つめている桐矢の考え方 双方のギャップがもどかしく感じました。 家庭を省みる事の無いように思えた祖父も、幼少期から家族に大切に思われなかった故どうしてよいかが分からないの件が心に刺さりました。 それ故妻と娘達との別離は義景の目にはどう写ったのでしょうか?
2022/10/16
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