喫茶とまり木で待ち合わせ
喫茶とまり木で待ち合わせ / 感想・レビュー
シナモン
とても良かったです。タイトルに惹かれて手に取りました。母親のなり方がわからない母親、ハンドメイド好きを周囲に打ち明けられない男子高校生、平凡な人生にこれでいいのかと疑問を持つ若い女性、有名芸能人と一週間暮らすことになった男性、自殺を考えた男性、それぞれの人生にそっと寄り添う喫茶「とまり木」。どのお話も前向きな気持ちになれて読後感爽やかです。温かみがあってほっとできる素敵な喫茶店。私も行ってみたくなりました。
2022/12/06
ちょろこ
【うさぎまつり】の一冊。表紙にうさぎがいることを知り、うさぎは登場しないけれど優しく癒されるまさにうさぎのような作品だった。タイトル通り、物語のベースはとまり木という名の喫茶店。でもあくまでも喫茶店が主張し過ぎないところが良い。悩みもやつく主人公たちの一歩への添え木みたいな役割、距離感が良かった。同世代、年齢の枠を越えての嘘偽りのない友情が育まれていく二話目にはこちらまで心晴れやかに。数々の言葉で心の曇りを拭き取り、クリアなガラスのような心を復活させてくれるようなストーリー。向こうに見えるのは清々しい空。
2023/03/07
machi☺︎︎゛
喫茶とまり木を舞台に繰り広げられるちょっと不器用な人たちの連作短編集。母親になり切れなかったと思っていたキャリアウーマン、だけど子供が母親に対して持っていた気持ちとは。男のくせに趣味がアクセサリー作り、そんなの恥ずかしいと隠していたけれど友達から言われた言葉とは。ほんの少しの事で上手くいく人生。そんなきっかけを与えてくれる喫茶とまり木。オーナーの人生も素敵だと思った。
2022/11/26
はる
思ったよりもずっと繊細で優しい物語だった。好み。喫茶とまり木で待ち合わせをする人たちの、様々な人生模様。人は1人では生きていけない。待ち合わせをする誰かと誰か。その絆が、人の優しさが胸に沁みる。ラストは出来過ぎだけれど、素敵な結末。ああ心地よい読後感。続編希望。
2023/01/18
Karl Heintz Schneider
喫茶とまり木を巡る5つの物語。登場人物はごく普通の人々。本書に関して著者はこのように述べている。「本作に主人公はたぶんいません。どこにでもいる人たちの、どこにでもある物語を書こうと思いました。」第2話の「コーリングミー」ではアクセサリー作りが好きな高校生男子が登場する。彼は恥ずかしくて自分の趣味を友人に打ち明けられない。そんな彼に母親がピシャリと言う。「あんたのやってることを恥ずかしいだなんて思っているのは、あんた自身だけよ。」人が真剣に取り組んでいることをバカにする人なんて、現実にはそれほどいない。
2022/11/01
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