虎と十字架 南部藩虎騒動
虎と十字架 南部藩虎騒動 / 感想・レビュー
タイ子
時は家光の時代の盛岡。そこで起こる虎騒動から謎に満ちた一連の事件が始まるのである。いやぁ、この顛末までのストーリーは面白い。<徳川実記>に残されてるくらいだから史実には違いないけど、虎騒動から巻き起こる切支丹探し、若殿を引きずり降ろそうとする輩たち、そして戦で生き残った者たちの謀略。最も卑劣なのは虎の餌に死骸まで置くとは…。騒動の謎を解く主人公の徒目付・米内平四郎がいい。ストレートな物言いに嫌味がなくて本分を全うする姿が好き。若殿が狂ったか?と思わせて意外な人物を登場させるなんてやっぱり最後まで面白い!
2024/03/02
みゆ
初読み作家さん。面白かった~ヽ(^o^)丿 南部藩で起こった虎騒動。家康公から拝領した二匹の虎が脱走、虎に与えられてた二人の囚人の死体も消えた。誰が虎を放ち、死体を持ち去ったのか。お家騒動、キリシタン弾圧、いろんな要素が絡み合うミステリ。予断を持たず冷静に調査を進める徒目付・平四郎がカッコいい♪歴史とミステリの融合、楽しめました(o^^o)
2024/03/23
アルピニア
舞台は江戸初期の南部藩。物語は初代当主利直が家康から拝領した虎二頭が檻から逃げ出したところから始まる。徒目付「米内平四郎」は知恵を駆使して二頭のうちの一頭を生け捕ることに成功し、その後の探索も任される。虎の檻を開けたのは誰か?キリシタンによる一揆か?次期当主をめぐる家老の陰謀か?狩好きの若殿か?推理の糸がつながらず誰もが怪しい状況にヤキモキしたが、結末はそう来たか・・。最初と最後に記録として残されている記述が示されている。このような断片から想像を膨らませて作品を創る・・。歴史小説の醍醐味が伝わってきた。
2024/01/12
ひさか
2023年8月実業之日本社刊。書き下ろし。時代ミステリー長編。南部藩の一介の徒目付平四郎が虎騒動の首謀者を暴き出す。平四郎の推理と捜査の手腕たるや当時の警察機構、ひいては政治機構を動かすほどの冴えがあり、唸らされる。平四郎に肩入れする上司や同僚、部下、家族、若殿まで登場する緻密な捜査のラストには驚く謎解きがあり、まさかの首謀者に度肝を抜かれてしまいした。拍手喝采です。
2023/09/24
だるま
時は江戸時代。徳川家康から拝領され盛岡城内で飼われていた虎2頭が檻から脱走。1頭は城内で射殺されたが、城外に出た1頭は主人公・平四郎の機転によって生きたまま檻に戻される。平四郎はその頭脳を認められ、誰が檻の扉を開けたのか、誰が虎の餌として入れられていた切支丹の死体を盗んだのか、2つの真相を探る様に藩主に命じられると言う時代ミステリ。小説としては面白く、陰謀や策略が渦巻く中で真相を究明する平四郎の奮闘が楽しめたが、謎のスケールが小さい割に延々とラストまで引っ張るのがイマイチだった。帯の『最高傑作』は大袈裟。
2023/09/06
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