パルテノン (実業之日本社文庫)
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パルテノン (実業之日本社文庫) / 感想・レビュー
眠たい治療家
古代ギリシア、アクロポリスの壮大な歴史物三編を収録。古代の神事を司る巫女の神託の謎と歴史的動向【巫女】。希代の英雄かペテン師か、テミストクレスにまつわる民事裁判案件の真相【テミストクレス案】、パルテノン神殿建設に関わった傑出した政治家ペリクレスと偉大な天才彫刻家フェイディアスの友情と生涯【パルテノン】。どの作品も初めて触れる史実をもとにした海外の歴史物語。パルテノン神殿の建設、民主制と寡頭制、民衆裁判における法廷劇、都市国家と戦争。全く知識がなくても、とてもわかりやすく惹きつけられ、興味深く楽しめた秀作。
2011/06/25
財布にジャック
この本には3つのお話がありますが、表題作の「パルテノン」は特に興味深いお話でした。政治家ペリクレスと芸術家フェイディアスの友情物語です。パルテノン神殿の薀蓄も楽しめ、その当時のギリシアの時代背景も楽しめ、民主制や究極の美を主人公たちと一緒に追い求め、まるで紀元前5世紀へタイムスリップしたような気分にさせられて、本当に読んで良かったです!しかし、この作品こんなに良いのに読書メーターで読んだ方が単行本を入れても30人にも満たないのが残念でなりません。
2010/10/14
NAO
ペルシヤ戦争が終結して平和が戻ったアテナイの新しい神殿を造りの中心に立ったペリクレスとフェイディアスの物語。民主制というそれまでになかった新しい政治形態を打ちたてたペリクレス。既存の概念から抜け出した「真に美しいもの」を作り出そうとしたフェイディアス。二人には「新しい世界を打ち立てていく」という共通点があり、決して妥協しない強い意志と信念があった。そのおかげで、アテナイは全盛期を迎えてつかの間の平穏な日々を得、フェイディアスの建てたパルテノン神殿は、後世に名を残すすばらしい神殿となった。
2021/12/13
gonta19
2010/10/5 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。 2014/2/3〜2/4 約二年ぶりの柳作品。古代ギリシアに題材を取った三作品。パルテノン神殿ってそういう背景で造られたのか。(フィクション的なところは別にして)宮部みゆきさんの解説も良い。
2014/02/04
RIN
紀元前5世紀のギリシャを舞台にした物語。「歴史ミステリー」とあるけど、ミステリなのかな?少なくとも、今の、殺人事件だの探偵だの警察だの、という意味でのミステリではない。これは2004年が初出で、柳さんデビュー前後の作品だと思うが、テイスト的には『饗宴 ソクラテス最後の事件』の系統。最近の柳作品と比べると、かなり理屈っぽいけれど、一行も読み飛ばせないくらい丁寧に読みたい小説。言葉の魔術師の原点がこれか~、という印象。未読の方は是非『饗宴~』と共にお読みになることをおススメする。ジョーカーとは違う魅力です。
2012/01/19
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