メメント (実業之日本社文庫)
メメント (実業之日本社文庫) / 感想・レビュー
たまご
人間は集団を作ることで身を守ってきた生き物だから集団を作る,でもそこには襲ってくる敵が必要で・・・,という理論で集団が攻撃に向かうことを説明している.そして攻撃に向かうには悪意ではなく善意をあおられると,暴力が正当化されて簡単に攻撃してしまうと.攻撃する側もされる側も,個々人はきっとそんなに差はないのに,集団になっちゃうと冷静になれないのか.そこにもう一つ民族?国民性?とかの違いは出ないのだろうか・・・. 筆者の論理で行けば,人間には天国なんてないのかも.
2013/04/05
げむ
森達也の映画が好きならおすすめ。「フェイク」を観たことがきっかけでこの本に辿り着いた。稀有な体験をしてる人ですね。それをテレビディレクターをしていた彼らしい語り口で紹介する。死に纏わるエピソード集。僕は好き。
べんてん。
タイトルがいいなと思う。「メメント」は「想う」。メメントと普通に聞くと、藤原新也の名著「メメント・モリ(死を想え)」を連想することが多いと思うが、「モリ」を「死」とも著者名の「森」とも掛け合わせて連想させることを目指した意図が充分に伝わってくる。「森」がいろいろな「死」に想いを馳せるエッセイ集。ためらい、迷いながらそれでも進んで行こうとする著者の姿勢を僕は、大いに見習いたい。人が人として生きることってこういうことなのじゃないかなあ。
2013/04/20
イワシ
この本のテーマはメメント・モリ。つまり「死を想え」だ。そうなると必然的に内省しなければならない。ふつうはそんなもん聞かされたってツマンナイだけだけど、森達也さんはドキュメンタリー作家だ。内省が現実と接地しなければならない立場の業種に属している。接地の結果、生まれるのは煩悶だ。「いったいこれは何なんだろう」から「はたして自分は正しいのか」に思考が変化する。その様子はスリリングだし、おもしろい。と、同時に「はたして自分は・・・」の問いが自分の頭の中にもうかんでくる。
2012/08/09
saori
生はそこにあって、死はそこにあって、でもほんとうは死はどこにあるのか? 4か月で死んだワンちゃんは三分の一光年先では生きている、そして拡散している、という。この死生観に感動。結論のない文章。きれいに収まらない文章。いや、それでこそ森!と思う。くそとかばかとかつくくらいの正直者ゆえなのだと思います。だから信頼できる。世の中ってそんなに簡単に結論も判断もできないものだもんね。「A」も「A2」も面白い。また見たくなった。
2012/02/17
感想・レビューをもっと見る