萌えいづる (実業之日本社文庫 は 2-2)
萌えいづる (実業之日本社文庫 は 2-2) / 感想・レビュー
❁かな❁
アンソロジーでしか読んだことがなかった花房観音さんの作品を初めて読みました。平家物語ゆかりのお寺にある参拝客が想いを綴るノート「忘れな草」。人には言えない秘めた想いが綴られている。女性視点なので官能小説のような内容ですが女性向け。昔つきあっていた男性との行為が忘れられない女性や愛人の座を奪われた女性など切なさも描かれる。全て京都が舞台になっていて雰囲気がいい。年下の男性との大胆な行為や別れたのに体の相性が良くまた受け入れてしまうなど赤裸々に語られていく。共感できるところもあり、大胆なのに品を感じる短編集。
2017/11/26
じいじ
花房観音小説の魅力の一つは、大好きな京都を舞台にした静寂な情緒情景にひたれることだ。本作は、平家物語ゆかりの由緒ある京都の神社仏閣を背景に綴られた5短篇集である。それぞれ人物設定、舞台構成に変化があって面白い。或る日、藪から棒に夫から離婚届が…、原因は「自分自身にある」と自己分析する冷静沈着な妻の対応に好感がもてる[想夫恋]。表題作[萌えいづる]は、一人の男を愛した二人の女の話。別れた男の影を追憶する女の心うちが愛おしい。[忘れな草]も印象深い作品だ。これまで読了の中では、官能の毒はキツメの小説である。
2016/01/30
p.ntsk
【読メエロ部】京都を舞台に平家物語ゆかりの場所やエピソードをモチーフにした5つの短編集。花房さんお得意のどろどろとした女の情念が様々な愛の形で描かれている。官能指数はほどほど。
2019/12/17
90ac
エロスで有名な作家さん。古本店にあった。初読み。裏表紙に濃厚なエロスなんて書いてあるけど、性描写はAV並で濃厚だとは感じないけどなぁ。平家物語に登場する人物に関係するお寺と、そのお寺にまつわる話を、現代の男女に置き換えて作られたような作品です。微妙によく似ていて面白い。第三話が良かった。やきもちにも似た衝動が突き上げてくる様がいい。第一話に出てくる「幽霊子育て飴」は六道の辻から六波羅蜜寺への曲がり角にあり、以前通ったときにはすでに店終いしていて買えなかった。ぜひ次回には買いたい。
2016/07/31
カピバラ
「そこびえ」が一番良かったかな。平家物語の逸話を現代風に置き換えてみたら?という嗜好は嫌いじゃない。
2015/03/11
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