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桜の下で待っている (実業之日本社文庫)

桜の下で待っている (実業之日本社文庫)

桜の下で待っている (実業之日本社文庫)

作家
彩瀬まる
出版社
実業之日本社
発売日
2018-01-23
ISBN
9784408554020
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桜の下で待っている (実業之日本社文庫) / 感想・レビュー

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ミカママ

とてもいい読書体験だった。連作短編集の共通項は「故郷」「新幹線」「春のお花」そしてメインの「新幹線の売り子嬢」。わたしも去年、京都からの帰りにビールの買い足しと息子用カツサンド購入させていただいたっけな。その直後、東海道新幹線では売り子嬢廃止と聞いて愕然とした覚えが。『菜の花の家』がダントツ。そして『ハクモクレン』中の宮沢賢治記念館、高校時代に友人との旅の途中、行ったことあるぞって記憶がさぁっと蘇って読書の威力を思い知る。オススメ。

2024/02/19

さてさて

『故郷とは必ずしも気安い場所ではないのだろう。お土産を両手に持って勇んで帰る人もいれば、喧嘩をしにいく人も、帰るのが気まずい人もいるに違いない』というそれぞれの主人公達の『ふるさと』。この作品に登場した主人公達にとってそれぞれが目的地とした『ふるさと』も、やはり単純に気安く訪れる場所ではありませんでした。『向かう先に生きた他人がいる限り、関係性は四季を越える桜の木のように花盛りと冬枯れを繰り返し、どちらか一方では固まらない』という先に描かれる物語は、そんな『ふるさと』が見せる一つの姿だったのだと思います。

2022/02/21

しんたろー

「東北新幹線」と「花」をモチーフにして描かれた5つの短編集は今まで読んだ彩瀬さん6作中で、一番ホッコリした。宇都宮から始まって郡山、仙台、花巻と違う主人公によって「ふるさと」を文字通り紹介する部分もあって観光的な気分も味わえたが、それ以上に心情的な拠り所としての「場所」を巧く表現していて共感できる話が多かった。単なる田舎話に終わらず「フクシマ」の実情についても自然体で語られており好感が持てた。5話目は予想通り、車内販売の女性が主人公になって纏めていたのも嬉しい。「明日も頑張ろう!」と思わせてくれる良作👍

2019/03/05

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

春は恋の季節。はじまりの季節。一筋の寂しさ、心もとなさを胸の隅に感じながら、桜の淡い色とともにわくわくと胸ときめかす。 東北新幹線に乗って北上する5人のそれぞれの家族の話を、春らしく花に絡めて描く短編集。故郷のあたたかさ、郷愁。そして同時に感じる煩わしさ。誰よりも近しいからかけがえなくて、疎ましい。でも大切にできる人でありたい、いつも。新幹線や高速バスにひとり乗って誰かのもとに行くのは切なくて嬉しくてさみしい。おばあちゃんになっても、誰かのためにワンピースを着れたら。

2019/03/24

エドワード

愛する人と東京で出会い、故郷の両親へ会わせに行く。よくある話だ。今の日本、東京は自由と夢と成長の象徴であり、故郷は地縁血縁と衰退の象徴である。狭い故郷の社会を嫌って東京へ出て行く人も多ければ、狭いからこそ故郷を愛する人もいる。東北新幹線を舞台に、東京と故郷の間で揺れる心を描いた五編。その眼差しは常に優しく穏やかだ。恋人の方言を聞いた時の距離感ってあるね。千里チャンが冥界で輪廻転生する話は岩手県ならでは、という感じがする。終章は新幹線の販売員さんの視線。<観光客か帰省客かは一目でわかる>そんなものなのね。

2018/02/17

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