ファンクション7 (実業之日本社文庫)
ファンクション7 (実業之日本社文庫) / 感想・レビュー
しんたろー
読み逃していた相場さんの初期作を再文庫化で改題を機に。南北統一問題をメインに据えた骨太サスペンスは、初刊当時は真新しかったスマホの可能性も見据えて、社会性タップリに描かれている。日本におけるテロに関しては一読だけでは荒唐無稽にも感じたが、よくよく考えれば平和ボケしている私たちに警告を発しているとも思え、実現性の高さに震撼!主役格の日本人教授・大田原が薄いのが残念だが、もう一方の韓国企業会長・スーフンは熱く切なく書き込まれていて、エンタメとして標準以上と思えた。本作のような犠牲がなく統一して欲しいと願う。
2021/05/29
アッシュ姉
相場さんの小説が現実になったと驚いたことは何度かあるが、本作はさすがに現実が追いついていない。実現が待たれること、何としても回避したいこと、いずれも難しいかもしれない。ゴ、ゴルゴがいたなら。あと、最低二年間充電不要の携帯電話があるならば欲しい。
2024/05/23
さぜん
北朝鮮から韓国に亡命し家族と同胞達を解放すべく巨大企業を起こし富を得たスーフン。2007年に書かれた作品だが朝鮮半島の状況は変化がない。工作員のテロはいつか現実になりそうで怖かった。携帯端末の最新技術を使って北朝鮮の独裁を人民に知らしめ煽動する場面は荒唐無稽だがリアリティもあって一気読み。社会や経済問題も織り交ぜ相場さんならではのアクション小説。帯の「最新技術が歴史を動かす」は言い得て妙。
2021/05/02
タツ フカガワ
50年前に北朝鮮から脱北して一大企業のトップに上りつめた男、北朝鮮の主体思想のもとに育った工作員、敗戦時に半島での苦い経験を持つ母親の顔がいまも忘れられない元日銀OBの大学教授を軸に始まる物語は、日曜日の新宿駅周辺がVXガスのテロに見舞われる、という幕開け。三者の思惑が交錯していくサスペンスで、時代背景は北の将軍が金正日、韓国がノ・ムヒョン大統領、米大統領がブッシュのころか。表題は南北統一の起爆剤になるスマホの動画再生機能のこと。終盤の興奮は、昔読んだトム・クランシー『日米開戦』を思い出しました。
2023/04/02
楽駿@新潮部
品川図書館本。北朝鮮からのミサイル発射ニュースの続く今だからこそ、ちょうどこの本を読むには良い時期だったのかもしれない。北朝鮮によるテロ行為とか、軍備力に劣り、財政的に厳しい国ならば、ありえる話で、テロに備えることは難しいと、改めて考えた。北の開放で終止符を打った本編だが、今の流れでは、それも厳しいのかも。これを書かれた時期には、もしかして、そんな期待もありえたのかもしれないが。同じ民族が、二つに引き裂かれてしまった原因は、ドイツ同様、米ソの争いに尽きるが、今は更に中国の動きもあり、難しい。同じ民族なのに
2021/09/28
感想・レビューをもっと見る