妻の罪状 (実業之日本社文庫)
妻の罪状 (実業之日本社文庫) / 感想・レビュー
いつでも母さん
7話からなる、色んな家族を描いた短編集。中身はどーんと重く、憤りと遣る瀬無さで気持は沈むのに読むのを止められない。この感じはクセになりそうだが、続けてはしんどいね。どれもイライラする中で唯一『あなたが遺したもの』の顛末にはスカッとした。
2021/12/29
モルク
今日家族間の問題となっている7つのテーマによる短編集。夫が亡くなり仕事を持ち一人暮らす主人公。姑は夫(息子)の財産で家をリフォームし娘一家と同居していた。9年ぶりにばったり会った二人。現在の姑の立場が悲しい。そして嫁姑は…の「あなたが遺したもの」や表題作「妻の罪状」義母と夫を同時に介護し、誰も助けてくれずひとり苦しむ嫁。そして遂に二人に手をかけるが…その隠された真相は…など介護、遺産、終活、8050問題などいつ自分に降りかかるかもしれない家族の問題であったので、その展開や家族の変化が面白かった。
2022/07/30
じいじ
あまりに可笑しすぎて笑っちゃう場面も…、しかしちょっと怖い七話のミステリー集。最終の表題作は、読み進めるにしたがって腹が立つ作品だった。姑の介護に孤軍奮闘する嫁さん(60歳)に変わって、気遣いを見せない夫以下の一族郎党をぶん殴ってやりたくなった。私は〈不妊治療〉をテーマにした【ガラスの絆】が面白かった。真新しい娘の制服のポケットに置手紙を残して、突然妻が家を出ていきます。血のつながりとは…? を考えさせられる一作です。新津さんの短篇ホラー小説は、私には程よい恐怖感で愉しませてもらっています。
2021/11/25
Ikutan
短編の名手、新津さん。切れ味のいい七つのミステリから、最近話題の身近な家族の問題をあぶり出す。介護。8050問題。終活。地方の空き家問題。夫婦別姓、遺産相続、AlD..。家族だからこそ、複雑な胸のうち。丁寧に描かれた心理描写にゾワゾワした読み心地ながら、どんでん返しもあって最後まで目が離せません。『殻の同居人』のラストには唖然。『妻の罪状』の意外過ぎる真相は不気味。身勝手な娘に鉄槌が下される『あなたが遺したもの』のラストは爽快だった。
2021/11/29
もぐたん
イヤなお話7話。乗っ取られる恐怖、奪われる喪失感、押し付けられる不快感…。とにかくイヤな話ばかり。しかも、あれもこれも、なくはないよな、というリアリティー。今、大事にしている家族は、いとも簡単に壊れてしまうかもしれないというそら恐ろしさが、背中からゾワリと入ってくる。なのに次々と読みたい衝動に駆られる罪な作品。ああ、厭だ。★★★☆☆
2022/01/03
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