サルトル全集 (第1巻)
サルトル全集 (第1巻) / 感想・レビュー
KUMAGAI NAOCO
ジャン・ポール=サルトルの未完の長篇の第1部。主人公マチウ・ドラリュ(どう捉えてもサルトル自身がモデル)は7年付き合ってるマルセルの妊娠を知り、人工中絶の費用を何とかしようと苦労する。まだ大学生の時に読んだ時はふーんと思っていたが、いざ自分がマチウやマルセルと同年代になってみると、割と身近な話であり、哲学書というよりは小説としてより感情移入が出来る様になった気がする。あとやはりサルトルは白井浩司氏の訳の方が、より当時らしさがあって個人的に馴染みやすい。
2018/04/20
とど
この本はサルトルの「自由への道」の第一部「分別ざかり」です。情人の妊娠を知ったことから苦悩し始める主人公のマチウの眼前には、何物にも強制されずいずれも自由に選べるいくつかの選択肢があるが、いずれの選択肢をも断固として選ぶ取ることができず、混迷の中でさまよいながら答えを探していく姿には、人のエゴや弱さというような面が見事に描きだされているように感じた。
2013/11/16
感想・レビューをもっと見る