星野智幸コレクションI スクエア
星野智幸コレクションI スクエア / 感想・レビュー
おさむ
デビューの時から政治的、社会的なテーマを小説に書いてきた著者の本領発揮ともいえる中短編集。トリッパーの書評で取り上げられていて興味を持ちました。野間文芸新人賞の「ファンタジスタ」や「在日オロシヤ人の悲劇」は共に10年以上前の作品なのに、現在の安倍一強政治の状況を見事に予見していて驚きます。いや、筆者はあとがきでこう記します。じつは変わっていないのである。はっきり見えなかったものが、今は誰の目にも明らかに姿を現している。筆者の政治小説はこれからも目を離せませんね。
2017/12/25
みゃお
政治・思想をテーマにした作品集 本当に何を信じてよいのかわからなくなった。 右も左も突き詰めれば同じことを目指しているのでは? なんて、思えてくる節まであるし。 搾取される羊になりたくなければ、賢くあれ。か? 一匹狼じゃ生きていけなこともあるし。 こんな時代で どこへ向かっていくのか、現実が小説に寄っていきそうで怖い。
2022/09/12
田中峰和
冒頭の長編「在日ヲロシャ人の悲劇」は10年以上前の政治小説。米国をアナメリカ、ロシアをヲロシャと捩った両国を登場させることで右翼と左翼の政治的対立や家庭内の対立を象徴させる。自分を俺と呼ぶ長女は中学で不登校になり、高校を中退し勝手にアナメリカ留学。その娘を個性重視と認める父の一派が左翼なら、正論で娘の軌道修正を図る母とそれを味方する弟は右翼。左翼活動からハンスト中亡くなる長女の死因は自殺か他殺か。離婚後自殺した母に次ぎ亡くなった長女。息子は父を許すふりをするが、国家同士の関係のように裏が透けて見える。
2017/02/14
Michiko Kato
●政治がいかに私たちの日常の常識や感性を支配しているのか、家族を通して見るととてもよくわかる。(354頁) ●私のイメージする危険な政治家は、もっと筋が通っていて、リベラルな人間をも納得させてしまう全体主義者だ。(355頁) [いずれも「あとがき」より] ここで述べられた作品は、2005年までのもの。当時、読んだ人はどう考えただろうと思う。「滑稽すぎる」と感じたのではないだろうか。しかし「新しい政治小説」と筆者が名づけたこの作品群、2016年末には現実味を帯びている。うれしくないことだけれども。
2016/10/31
コキア
政治的、社会的思想をテーマにした6篇 崩壊した家父長制度、 強者と弱者の力関係、心が奴隷にされること、 無自覚こそ怖いものはない 地球上から食べ物が消えていき、食糧は配給制になり、 人体の細胞のプログラムを狂わせる遺伝子組換え食を食べなければならなくなる。奇形食品により人口は減り続ける 書かれた16年前に既に予測済だったのか、、
2024/04/13
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