老い 上 (新装版)
老い 上 (新装版) / 感想・レビュー
アキ
ボーヴォワール62歳1970年の著作。"いつまでも気持ちは若い"ということは、若いということに価値を置いている裏返しであることに気付かされる。死を意識する事はあっても、老いは直視しないまま時を過ごしがちであり、誰にでもいつの間にか訪れるもの。上巻では外部からの視点として、生物学的に、また社会的な老いの歴史を膨大な資料からフォーカスしている。この時代にすでに退職後の年金と孤独についての言及があり、今とほとんど変わらないことに驚く。多くの文学作品も引用されており「楢山節考」も考察されていた。リア王も読みたい。
2021/07/12
榊原 香織
人生の曲がり角にはいつもボーヴォワールがいる なんちって。 高校生の時に”第2の性”を読み、今はこれw 文化人類学的に、少数民族の老人の扱い、記述してるんだけど、ちょっとどーかと。 アイヌ民族からクレーム来そう。 日本の事例も違和感あるなあ。楢山節考の世界が近代まで普通だったようなイメージ持たれてしまう。 1970年出版。老人対策、その頃よりは進んでいると思いたい。 上下巻の上
2022/03/01
ehirano1
何とも切なくなるというか残酷というか・・・しかしこれが現実ですね。そうであるなら足掻こうとはせずに老化を素直に少しずつでいいので受け入れていくしかないと思いました。しかしそうするには幾らかの工夫と技術が必要のようです。まあ、これが認識できただけでも僥倖でした。
2024/06/25
yumiha
『100分で名著』における上野千鶴子氏の紹介が歯切れ良く、自分がいかに老いをマイナスイメージでしか捉えていなかったかと反省させられたので、かつて『第二の性』を途中挫折したくせに読んでみたくなった。しか~し‼生物学や歴史の中で語られてきた老いは、マイナスイメージどころか、むごい!悲惨!『リア王』の老いの様子…が、当時の社会の不条理さを描いていたとは…。救いは『レ・ミゼラブル』の老ジャン・バルジャン(80歳!)が若いマルセルを背負って地下道を逃げる場面こそ、ヴィクトル・ユーゴ―が書きたかったのだということ。
2022/06/02
ころこ
訳が読み易く、人文書にしては一般の本に近い感覚で読めます。上巻では、老いを生物学、民族学、歴史、社会学のそれぞれの観点から考察しています。老いは確かに衰えであるにも関わらず、しかし経験と知恵と安らかさをもたらすものであると擁護します。他方で、冒頭で「私は~」という一人称を使っているのが印象的です。人文学とは人間に対する学であることは間違いありませんが、それは同時に人間の中に否応なく私という存在が入ることでもあります。人間を考えることが究極に自分を考えることになり、自分を考えることが人間を考えることを問い直
2021/07/13
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