老い 下 (新装版)
老い 下 (新装版) / 感想・レビュー
アキ
下巻では内面からの考察について述べている。主に作家の特にトルストイ、ゲーテ、チャーチル、ガンジーらの老年における振る舞いやエッセーなどが印象的。一般的に作家は老いるにつれ物語よりエッセーが多くなるが、音楽家や画家は老年に高みに到達するとある。また老年期の性、ことに男性の性について詳細な考察がある。老年とは長い過去と短い未来から習慣に拘り、長く生きるにつれ同世代は減り孤独に陥りやすいとある。「人生は何ごとかへの長い準備であり、その何ごとかは決してやってこない」イェイツの言葉が響く。読み応えのある本でした。
2021/07/14
榊原 香織
上下巻の下 全然心休まらない内容だったw 下巻は政治家や文学者など有名人の老後。 付録のアメリカや社会主義国の状況、は資料が古すぎ(1960年代)。ソ連、だし。
2022/03/02
ころこ
実存的な「老い」は、統計的、実証的な「老い」による限界を感じつつも、一回性の生がそのパブリックイメージに抗うことにより示されています。要するに「彼がこれまでの生涯を通じてつねに人間として扱われていたのでなければならない、ということだ。」「むしろ老後のことなどあまり考えずに、たとえあらゆる幻想が失われ、生命の熱気が冷めたのちにもなおそれを守りつづけるほど心を打ち込んだ、意義ある人生を生きるべきであろう。」
2022/02/05
yumiha
下巻では、当人の内面から「老い」を考える。やはり身体的にも精神的にも耐えがたい現実が多かった。「老いは正常に異常な状態」つまり「正しい老化」を誰でも進まなければならないようだ。そのなかで上巻でも印象的だったユーゴ―は、「わたしの老年には一つの開花がある」(p272)と述べたのはさすがだ。でも、その元気な要因が「恥ずべき情事」にあったのでは…と考えると、妻の立場からすれば複雑だ。ボーヴォワールの「人生に意義を与えるような目的を追求し続ける」という結論も、そんな高尚なモンとは縁のない私には無理ですなぁ…。
2022/06/08
かずぼう
病気なら治るか進行を停止させる可能性があるが、老化に由来する衰退は取返しがつかず一年毎にそれが酷くなる事を我々は知っている。自分の老いを快く思う女性はおらず「美しい老婆」と人はけっして言わない。あまりにも長生きすることは、愛する者たちからひとり生き残る事である。親しい者との死別によってこの世に留まる欲望をなくす。老いの厳しさを全面に感じ、ボリュームもかなりヘビーな読書であった。
2023/02/20
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