記憶する民俗社会
記憶する民俗社会 / 感想・レビュー
大臣ぐサン
小松和彦を中心として記憶をテーマに研究成果をまとめたもの。20年前の本だが、のっけから小松和彦が民俗学に警鐘を鳴らす。民俗学は柳田国男が創設した学問であり、柳田国男という巨人を超えることができなかった。あたかも民俗学は柳田国男の学説をなぞるだけで目的を失った衰退した学問になってしまっているのではないか。しかし、民俗学の柳田からの脱却の萌芽は80年代には現れ、それはだんだん浸透していき、00年代以降に民俗学は息を吹き返す。柳田の学説に囚われない多角的な研究成果が増えた。その過渡期に位置する本として興味深い。
2021/04/06
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