牢屋でやせるダイエット (青春文庫)
牢屋でやせるダイエット (青春文庫) / 感想・レビュー
kinkin
作家の中島らも氏が大麻取締法違反で逮捕、起訴、起訴から裁判そして判決までの成り行きを彼独特の哲学的思考とともに書いている。大麻取締法違反で捕まったタレントや歌手はいろんな人がいたが、作家として捕まったのは中島らもが 一番有名ではないかと思っている。現在オランダでは大麻も解禁されているし、アメリカの州によっては所持も認められているそうだ。まあ今の日本に解禁を唱えても多分無駄だろうけれど、リラックスする程度ならいいではないかと思う。それよりもどうにもならない政治家を始末してほしいね。
2022/03/03
ホークス
ダイエット法ではなく、麻薬で捕まった時の手記。らも氏の本性は分からない。人の本音などそう簡単に分かる訳がない。でも氏のエッセイは、人間のやるせない部分を直視し、寄り添ってくる。死に近い所を彷徨いながら、世の理を体当たりで確かめてきた人を感じる。それは並外れた反骨精神、世界に溢れる矛盾への憤り故だと思われる。肝心なのは、他人のせいにせず自分の内なる人間の矛盾と戦った事、そのため常に命がけだった事である。ここに氏の魅力と、深入りすると危険な面がある。惹かれるのは危険の兆候かもしれない。本書も相当危ない。
2018/05/23
Shoji
この人の本を、時々、読みたくなるのだ。灘中から灘高行って、本もCDもメジャーレーベルから出して、テレビだラジオだ、CMだ、舞台だ、ステージだ。かっこいいよな、なんて思ってた。でも、筋金入りのオバカであった。ラリって逮捕されて執行猶予ではあるが実刑くらって、死ぬほど飲んでコケて頭打って死んじゃう人生。こんな中島らもを実は尊敬している。天国では思う存分、ラリってグデって下さい。
2024/07/25
katoyann
麻薬取締法違反で逮捕となり、拘置所に留置された22日間を綴った体験的エッセイ。勾留中に血圧が230まで上がり、脳溢血による死を覚悟したとある。看守は囚人を呼び捨てにし、不調を訴えても医療処置が遅いという拘置所の実態を知る…。と書くとシリアスな話に聞こえるが、不眠や体調不良までをも面白く表現してしまうのはさすが。拘置所でクセになったという自慰に関するエピソードは思わず声を出して笑った。アルコール依存が進み、躁うつ病も悪化して痛々しい描写もあるが、もうこういう感じの反抗の表現ができる天才は現れないと思う。
2022/02/09
三平
中島らもと言えば私の年代の関西人からすると、ローカル深夜番組に時々出てた面白怪しいおっさんというイメージ。どこか目つきがおかしく真顔でふざけたことをスローな口調でつぶやく、昼間の全国放送に出したらあかんタイプ(とはいえ当時の大阪はそこら中にそんなおっさんがゴロゴロいたが)。この本もふざけた内容だろうなと手に取ったが、中々どうして。確かにふざけた話も多いが、「自由」について、「罪」についてギョッとするような深い哲学的な思索がされて印象を変えさせられた。この人は真面目に不真面目をやっていたのかも、そう思った。
2015/05/19
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