〈ふつう〉から遠くはなれて ――「生きにくさ」に悩むすべての人へ 中島義道語録
〈ふつう〉から遠くはなれて ――「生きにくさ」に悩むすべての人へ 中島義道語録 / 感想・レビュー
テツ
世の中を斜めに見て吐き気を感じていた思春期の頃。俺を産んだ奴も、産ませた奴も、産んだガキをほったらかしにして好き勝手に生きるようなことが許される世界もみんなくたばれと思っていた頃。そう思いながら何の力もなく努力もせずにブラブラとただ存在している自分への嫌悪感。そうした面倒臭いモヤモヤを抱えて生きている人間って結構世界にはたくさんいるということ。哲学というものがもしかしたらこのモヤモヤを晴らすための力になるのかなとぼんやり考えた頃のこと。中島義道の言葉は当時それを読みながら考えていた青臭い自分を蘇らせる。
2019/01/09
袖崎いたる
痛ましいくらいに自らを傷つけ、他人からも傷を与えられ、そうしてジュクジュクした傷を矯めつ眇めつ観察し、ときに哲学道具で弄りまわし、やっぱり自分は人間嫌いで不幸な人間なのだと確認し直す。これは確かに〈ふつう〉とは呼べないだろう。彼の一般向け(?)の本に書かれた一節をちょいちょい抜き出して収録されているのだが、著者の姿勢が一貫していることがわかる。通して読んでも同じ傷跡を少しずつ角度を変えて語っているのだ。共感するべきでないような生きにくさの語りは読むに痛い。「なぜ生きるのか?」「それを知るために生きるのだ」
2017/01/24
れん
アンソロジーだけど、私には言葉の熱量がすごくて…読後は息継ぎなしで泳いだ後のよう。運不運が人生を揺さぶり続ける。理不尽さを小細工無しに認めると、違う世界が見えそうです。
2021/11/08
農明(ノウミョウ)
日々の生活で悩むことは、不幸、好き嫌い、この先どうなるかといった幕残とした不安と思います。本書は、そのような不安な気持ちの処方箋になりました。人を嫌うこと、嫌われることをこんなに肯定的に受け止めていいんだ、と、心が救われる思いでした。
2020/11/29
はる
私が幸福を求めれば求めるほど、かならず多大な害悪を及ぼすことがわかった。私は真実を隠蔽してでも幸福になることを求め、しかもそれを妨げる人を憎み恨み、そしてその人の不幸を望むという貧しい閉塞状態に陥るのである。楽に生きることができないのなら、苦労して生きるしかない。各人が生きることによって、固有の悩みを解決するしかない。解決できないにしても、それを抱えて生きるしかないのです。なぜ生きるのか?それを知るために生きるのだ。
2019/02/11
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