池澤夏樹の旅地図
池澤夏樹の旅地図 / 感想・レビュー
KAZOO
池澤さんの様々な場所へ行った時のエッセイや対談などが写真とともに収められている作品集です。池澤さんが旅したところを一緒に体験している感じがします。またご自分の作品などについて触れられている箇所もあります。ただ池澤さんのファンでないとこのような作品集は肌に合わない人が多いのではないかという気がします。沖縄がお好きなようです。
2018/05/30
ジュンコ
旅をすることは生きること。生きることは旅をすること。池澤夏樹の生き方が好きだ。憧れてやまない。この本は偶然、古書店で見つけた。前の持ち主さんのしおりなのか、ニューカレドニアの国鳥(絶滅危惧種)カグーのポストカードが挟まっていた。ずっと手元に置いておきたい本だけれど、私もどこかのポストカードを忍ばせて、誰かの元にこの地図を旅立たせたい。
2016/09/11
ぞしま
私にとって、池澤夏樹さんはなじみがあまりなくて、スティルライフを読んだくらいだった。池澤さんは自分に才能はないと言う、ほんとかどうかは別にしても、謙虚だと思った。過去にはお化けが犇いていると信じて、決して振り向かないようにして生きてきた、と書く。理解しがたい。ギリシャの暮らし、沖縄の移住話、帯広の記憶、そんな風に話は進む。テオ•アンゲロプロスの映画を私たちに訳してくれた方であり、沢山の文学を紹介してくれている方。ありがとうございますと頁を閉じる。
2015/08/16
世話役
再読。とはいえ何度か読んでいるため、眺めた程度ではあるが。本書が僕の中での池澤夏樹の原点である。思えばこの人も居場所がない人だ。いや、居場所がないことにしているんだろう。その気持ちはなんとなくわかる。逆接的だが、そうしておかないと本当に居場所がなくなるからだ。本書収録のエッセイ「楽園の曖昧な根拠」はその独白といえる。本書は筆者がひたすら旅や移住を続けた記録だが、その実、居場所を確認するための物語だ。最後に出身地の帯広と実父・福永武彦のことを書いているのは、旅の果てに残った筆者の本音の現れだろう。
2014/11/22
アイナ
定住せず居場所を探しつづける著者。旅と本に対する視点はさすが。私の母は4代以上続く生粋の東京人で「動かない人」。私の父は、九州、台湾、四国、関西、東京と移り住む流浪の民。ちなみにふたりの出会いは旅行先のイタリア。私はどちらの血が濃いのだろう。池澤氏がかつて住んだこの街から、私は旅に出ては戻る日々をこれからも送る気がします。
2016/08/02
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