なつかしき未来「大阪万博」:人類は進歩したのか調和したのか
なつかしき未来「大阪万博」:人類は進歩したのか調和したのか / 感想・レビュー
うぼん
大阪万博とその後の40年を検証するシンポジウム記録。通産省主導の工業博が如何なる経緯でテーマからデザインを始めたのかという話や丹下健三の融通政治、反骨岡本太郎の巨大呪物を名付けた小松左京の話が面白い。後半、テクノロジーは人間を退化させ必ずそれは廃墟になるとかギブソンのガーンズバック連続体とか、廃墟論とメタボリズムについての興味深い話になるが軽く流れる。さてそんな検証も我関せずの逆張りEXPO2025、「生命」じゃなく「いのち」が基幹テーマって。この陳腐な言い換えに役員の無責任と教養劣等感が垣間見えて寒い。
2023/08/11
8810mcd
嘉門達夫さんがぶっ飛んでいて面白い。「万博になりたい!」って人じゃない笑。一方で大阪の動く歩道に対する発言には、なるほどと唸らされました。僕の知っている嘉門さんは、血液型別ハンバーガーショップ、とか、街の灯りが全部消えたら停電、とかふざけた歌詞の歌ばかりだったものですから。追伸…自分のお金で始めて買ったCDは嘉門達夫さんでした笑
いちはじめ
2010年12月に開催された「大阪大学21世紀懐徳堂シンポジウム 街育てvol.3 大阪万博四〇周年の検証」の書籍化。付録DVDは上田篤、小松左京、今井祝雄のビデオインタビュー。翌年に亡くなる小松左京は、この時既にかなり体調が悪かったらしく、静止画のみで、声にも張りが無く、痛々しい。
2013/03/13
小物堂社
丹下健三は万博で「屋根」を、戦争期に「大東亜建設記念造営計画」を、更にその間に「広島平和記念資料館」を〈つくっている〉。一旦、私はこれらは断絶と判断してしまう。それらの目的としていることは全て異なるベクトルを向いているからだ。「誕生」を、「破壊」を、「再生」を、という具合に。少なくとも楽観視にはそう見える。しかし万博のスローガンは「人類の進歩と調和」、戦争期の満州国のスローガンは「五族協和」、ということを考えると断絶とは言えない。そしてそれを体験し、実践したのが丹下健三である。また国民である。
2013/01/23
Ryuji Saito
2016年26冊目
2016/03/06
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