パラノイドの帝国
パラノイドの帝国 / 感想・レビュー
三柴ゆよし
扱われている題材が魅力的すぎて、論旨がふやけ気味な気がしないでもないが、本書で取り上げられている作品はだいたいおさえていたので、わりかしおもしろく読んだ。本年度ベスト級に好きな『アンダー・ザ・シルバーレイク』(ピンチョン好きは必見)もまさしくパラノイド映画の傑作だったし、有象無象の情報が乱反射する現代こそ、斯様な陰謀論的芸術が存分に花開く余地がある。
2018/11/16
masabi
【概要】陰謀論を基底に据えた現実認識をパラノイドスタイルととして政治、文学史を捉えようとする試み。【感想】読んでいて目眩のする本だった。大統領暗殺に纏わる陰謀論、自然災害も陰謀論として読解するキャスター、環太平洋で呼応する科学で説明のつかない現象を扱う作家。大統領選挙での不正の主張、内乱の懸念とここ数週間のトレンドでなんとも不思議な偶然である。アメリカの掲示板で囁かれるQanonなど「ダークウェブアンダーグラウンド」を想起せずにはいられない。
2020/11/18
western
歴史家R・ホフスタッターが60年代半ばに提出した理論に基づき、トランプ大統領誕生に一つの頂点をみるアメリカの「パラノイア」という観点から、米文学・政治・精神史をその深層において再検証する試み。ホフスタッターの整理によれば、「パラノイア」は個人レベルでの被害妄想的・陰謀論的心性を、「パラノイド・スタイル」は国家レベルでの、壮大な陰謀論によって体系化された世界認識を指す。前者の作家ディックは、実生活において現実崩壊感覚に襲われ被害妄想的奇行に走るが、後者の作家ピンチョンはその作品のなかで→
2018/12/08
a.k.a.Jay-V
興味深く+面白く=傑作が咲く。 途中までアメリカ人が書いてるのかと錯覚。 アメリカの繁栄には腐敗警官の存在が必要不可欠(大意)と言ったのはエルロイだが、アメリカの文学の根っこの部分にあるのはピンチョンか?
2019/07/24
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