ザ・ロスチャイルド
ザ・ロスチャイルド / 感想・レビュー
Kawai Hideki
第4回城山三郎経済小説大賞受賞作。ロンドン・ロスチャイルド家の祖であるネイサン・ロスチャイルドの一代記。同時代にヨーロッパを席巻したナポレオンとの腐れ縁を設定に盛り込み、「拳の力」に「金の力」が挑むストーリー仕立て。当時の経済事情や仏軍の戦闘場面の説明は非常に分かりやすい。単身でイギリスに渡り、綿製品の販売業者の既得権益をぶち壊したり、ナポレオンが敷いた大陸封鎖の網を命がけでかいくぐったり、伝書鳩も駆使した情報網で戦況をいち早くつかみ、大きな逆売りの勝負に出たりと、手に汗握る展開目白押しで非常に面白かった
2014/12/30
B-Beat
◎城山三郎経済小説大賞という賞を知り、今回その第4回受賞作品を読んだもの。ロスチャイルド家についてはその名前を知っている程度。かつて受験では世界史を選んだが読んだ小説は日本史ばかりだったとあらためて気づく。この本を読んで俄然関心が湧いてきた。明治日本の政商とか財閥とか。当然ヨーロッパやアメリカにも同じ存在はあったはず。黒船もその威容を現わすまでに本国にて紆余曲折があっただろうから。ネットで調べる。幕末長崎で薩長に武器を売るなどして暗躍したグラバーもロスチャイルドの派遣社員だった?なるほど。面白そう。
2014/04/19
シュラフ
経済的投資では「時間の差異」を活かした者が勝利するというもっとも有名な故事は、ワーテルローの戦いの後のロスチャイルドの大儲けだろう。この物語を読むと、そのロスチャイルドの大勝利も薄氷を踏むような大勝負の結果であることが分かる。身の破滅なのか、大儲けなのか、物語のクライマックスはとてもドラマチック。そして「時間の差異」を活かしたロスチャイルドは大勝利する。では、ロスチャイルドはいかにして、この「時間の差異」というものを手に入れるネットワークを手に入れるに至ったのかというのが、この物語のテーマとなっている。
2017/07/27
エリク
ナポレオンの配下に婚約者を殺された才能あるユダヤ人のはなし。 こんな人生を送ってみたいなーって強く思います。
2020/01/04
ophiuchi
ネイサン・マイヤー・ロスチャイルドが成り上がっていく過程をポイントとなる場面を短い章立てで書いていく手法が効いて、想像していたよりかなり読みやすい一冊だった。ナポレオンが欧州を席巻したこの時代、小説で読むとこんなに面白いのに、世界史の授業はなぜあんなにつまらなかったのだろう?
2015/06/21
感想・レビューをもっと見る