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『銀河鉄道の夜』とは何か

『銀河鉄道の夜』とは何か

『銀河鉄道の夜』とは何か

作家
村瀬学
出版社
大和書房
発売日
1994-01-01
ISBN
9784479390299
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『銀河鉄道の夜』とは何か / 感想・レビュー

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ころこ

Ⅰの12章に加藤典洋に引用されていた箇所がある。しかし、その論拠はここにはなかった。加藤が上手く引き伸ばしていたことが分かる。カンパネルラが青年期の大人びた利他的な行動をとったことに対して、なぜジョバンニが主人公なのかというのが加藤の問いであった。加藤は子供っぽいジョバンニから世界との関係を持つことをはじめないと、カンパネルラの利他にはどこか嘘が混じると論じた。本書には残念ながら明確な論理ではなく、雰囲気で示されるだけである。そこから言葉が引き出されることはない。

2023/11/19

ぴすけ

『銀河鉄道の夜』を「少年の主観性」を軸に捉え直した研究書。過去の論評が文献や史実レベルに偏っていると指摘し、あらためて物語として読み抜くために賢治の背景や作品史の文脈から意図的に距離を取った姿勢が特徴的。 作品世界が内包する「認識の認識」への問いについて哲学者ウィトゲンシュタインの『確実性の問題』を引用して解説し、「知る/信じること」の本質と少年期との関係性を明らかにしている。 石炭袋を年代的な過渡期としてカムパネルラ消失を死の安易なメタファーから切り離した解釈には説得力と希望を感じた。

2021/09/17

ヒカガミ

ジョバンニとは何者なのか。賢治の妹トシとこの物語にはどういった関連性があるのか。銀河鉄道の夜を題材にレポートを作成する際、とても参考になった。参考にするはずが面白くて熟読してしまうほどであった。少年の主観性を語る上でジョバンニは欠かせない重要人物であったというのは、納得のいく解釈であった。

2015/01/07

三月/深冬Rain

なるほどと思わせる解釈である一方で?な部分も…。筆者に言わせればこの物語は「青い鳥」のようには読まれるべきではなく、「本当の幸福とは何か」という問いの立て方自体が間違っている、賢治作品でしばしば出てくる「本当の幸福」という用語について作中人物は常に「それは分からない」と答えているのは賢治がこの用語に対して距離を取っていることの表れなのだそうだけれど、むしろそれだけ登場するのは執着というか重要視してることの表れなのではないかな(無論答えがないことは頭の中では分かっていたのだろう)。

2022/04/29

President yagisan

ジョバンニとは何者なのか。賢治の妹トシとこの物語にはどういった関連性があるのか。銀河鉄道の夜を題材にレポートを作成する際、とても参考になった。参考にするはずが面白くて熟読してしまうほどであった。少年の主観性を語る上でジョバンニは欠かせない重要人物であったというのは、納得のいく解釈であった。

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