誰が誰に何を言ってるの?
誰が誰に何を言ってるの? / 感想・レビュー
阿部義彦
森達也監督が「週刊金曜日」に連載していた写真コラムを中心に編んだ本です。このコラムは新機軸で大変面白いです。世間に溢れるちょっと変な標語や警句を写真に撮って、それにエッセイらしい森達也の感じる違和感を表明しています。(防犯カメラ作動中、テロ警戒中、機内に持ち込めるライターは一人一個までです。etc)森さんの著作では凄く敷居が低くて誰でも楽しめる内容だと思います。
2018/06/02
青龍
図書館本。筆者の雑誌掲載は読んだことあるけど、単行本は初読。途中からテーマが変わっているけど、なるほどと思う部分あり。やたら「仮想敵(悪人)」を想定している看板やポスターの多さには、私も辟易しています。
2018/06/17
lily
街のあちこちで見かける「特別警戒実施中」「防犯カメラ作動中」の表示。年を追うごとに刑法犯は減少傾向にあるにもかかわらず、オウム事件以後に増えたこれらの文言は過剰なセキュリティ意識を煽り、体感治安は悪化する。ここからつながる厳罰化を支えるのは資本主義的なメディア…と、あとはお馴染みの森達也節。圧巻の一冊。「みんなが困ります地下鉄の投身事故」、「「暴力追放」と暴力くんをやっつけているヒーローが暴力を奮っている」、日本民話の「フルヤノモリ」は参考になった。
2022/08/20
りり
この人の本を読むと、いつもモヤモヤとはっきりしない、一言では表すことが難しい読後感があるのが特徴。ノンフィクションが主観にまみれていると言い切る以外は、物事のシロクロをつけない形で差し出すので、インタビュー相手の戸惑いが目に浮かぶようだ。曖昧なものならば曖昧なままで、スッキリハッキリしているものに対しては疑問形を。野菜や果物なら新鮮さが命なのだけれど、この人のそのまま感は人を途方にくれさせるベクトルを持っている。『王様は裸だ!』と叫んだ子供みたいな感性を失わないのは結構に大変な人生だと思ってみたりする
2015/03/26
ichiro-k
「周囲に合わせることではなく、状況への冷静な洞察と、できる限り正確な認知だ。」と著者は言っている。まったくその通りです。日本に限らず政治・経済・宗教・マスコミなどの世界では、自分の「声の大きい奴等」が幅を利かせ、変な(いやな)方向に進んでいるような気がします。
2010/03/06
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