失われた時代: 1930年代への旅 (筑摩叢書 341)
失われた時代: 1930年代への旅 (筑摩叢書 341) / 感想・レビュー
みずさわゆうが
スペイン内戦を軸に文人の死者を追う旅の随筆。カタルニアの街や村のアンニュイな感覚。西欧中から文人が左の政権をフランコの侵略から守るために集まる姿の、ウクライナ侵攻との奇妙な相似形。 国境の小港ポル・ポウでのベンヤミンの逃避行の果てとその墓を探す一節。それ以上に末尾の穴熊の部分は最高。苦しみの連続の生の中〈生きるという手仕事〉を見出し、「自分が生きなければいけないように生きる」こと。失われ時代の死からの未来へ紡ぐべき生き方――京大が出題、桐原の教科書が掲載するこの部分は高校生に絶対に考えてほしい部分。
2022/07/22
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