にっぽん春歌紀行 (ちくま文庫 の 1-1)
にっぽん春歌紀行 (ちくま文庫 の 1-1) / 感想・レビュー
ポンポコ
JTBの出していた雑誌「旅」の連載。「猥雑で下品で、それだけに人間の孜々とした営みを聴くものに味合わせてくれる、さまざまな民謡」を全国に訪ね歩いたルポ。小沢昭一っぽいテーマだけど、無茶苦茶な紀行っぷりと、その中で開陳される膨大な知識、詰め込まれた情報量に圧倒される(読むのに時間がかかる)。猥褻な唄というものはなくて、それは辛い労働や単調な作業を楽しむために生まれた唄なのだ。それはむらの暮らしと一体になっている。野坂氏は亡くなってしまったが、すでに失われかけたこれらの唄を、残そうとした本書の価値は大きい。
2015/12/11
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