書物漫遊記 (ちくま文庫 た 1-2)
書物漫遊記 (ちくま文庫 た 1-2) / 感想・レビュー
傘緑
「戦中の風俗が何から何まで国防色一色に塗りつぶされてしまったと思うのは…行き過ぎた戦後民主主義礼賛」語られるのは、権力の目を欺く「統制洩れ、統制抜け」の自由、贅沢禁止令の出された江戸町人の粋に続くような、戦中の女学生などの「まぶしいばかりのお洒落」。種村季弘、そんな闇市の香具師ような強かさを持つ、アセチレンの匂いのする博覧強記、力強さと背中合わせの地獄の原体験「同級生たち…一人は機械に巻き込まれて死んでしまった…一人は見る影もなく落ちぶれてから殺された…一人は発狂して皇居に侵入した…一人は二度の自殺未遂」
2016/10/15
eirianda
お風呂のお供に少しずつ読む。いにしえの見世物小屋に思いを馳せる。大食のすすめに出てくるフェリーニの『サテュリコン』のDVDを借りて観る。おおおおぉぉ……なんじゃこりゃぁぁぁ……。イヨネスコ、久世十蘭、ラブレー……何でもないものの魅力とはかけ離れた本の数々。好きだなあ、この雑多な世界観。
2014/05/17
uni
これは困った本。読みたい本が無数に増えていく。しかし今や入手困難な絶版本ばかり。図書館にはあるかしら。種村氏の恐るべき博物学的知識よ。それに応するとんでもない読書量。ドイツ文学者ということで、本作にもたくさんの西洋系統の本の紹介が為されるかと期待して読み始めたら、殆どが国内本。特に興味出たのが、吸血鬼関連、大泥棒紳士館、ペトロニウス~パゾリーニに至る食文学の系統、そしてドウス昌代。現存して読む術がある作品は是非とも読んでみたいなと。ぼんやり読了。
2013/11/08
ウテオンマ
ちくま書房松田さんの種村氏「書国探検記」の書評を読み興味を覚えたところで、タイムリーにも古本屋さんで出会った本書。古今東西の名著、奇書、珍本・・の読書案内ですが、最初の一冊から、いつの間にか類似本、同時代本の話に及び、いったい何の話だったっけ?と思うこともしばしばww はんぱない読書量です。でも、本好きの端くれ、この気持ちわからんでもないなぁ。作家仲間の交友録もおもしろい。亡くなられて9年も経つのだなぁ。密かに母校のドイツ文学の先生でしたが、1度授業に潜り込んだときぼそっぼそっとお話されてたのを思い出す。
2013/09/11
ふゆきち
各章のタイトルには一冊の本があげられていますが、その本を中心として広がる様々なことが書かれたエッセイです。並みの書評より面白いのは、著者の文才か、博学のためでしょうか。
2020/10/13
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