芥川龍之介全集〈5〉 (ちくま文庫)
芥川龍之介全集〈5〉 (ちくま文庫) / 感想・レビュー
優希
日常に近い作品が多い印象です。新しい作風と言ってもいいのでしょうね。物語の持つ力より皮肉の方が見え隠れしていますが、それが色々な味となって感じられると思います。逆に言えば、芥川の神経質さが出ているともとれるのではないでしょうか。
2020/03/21
優希
日常に近い作品が結構ありますが、精神的に不安定になっているのではないかと思わされます。同じ名前の登場人物で何作品も書いているのは低迷期だかでしょうか。全体的に低調な感じは否めません。
2023/03/21
ころこ
『庭』かなり驚いた作品。本巻は一連の続きとして読めるが、その兆候のように作者の関心が人間に当たっていない。『おぎん』おぎんが棄教した後の解釈が問題になる。日本における外来思想の受容は、あくまでも1階のアニミズム的自然観の上に仏教や儒教、キリスト教が2階としてのっている。日本にとってキリスト教は様々な意匠のひとつで、人々は無意識に手段として信仰する。一神教は言うまでもなく、そのものとして受け入れる他ない。しかし、おぎんは父母のために棄教を決意し、おすみは孫七のために殉教するという。日本に一神教が根付かない理
2023/01/22
r.ramone
晩年になるにつれて段々と心の闇の顕現をコントロールできなくなってきているような印象を受けます。『大導寺信輔』なんかもう読んでいられません。こんな感性、感受性を持っていたら長生きできないのは必然かもしれない。けれども、私はブラックユーモア溢れる保吉もの、結構好きです。…泣いても笑っても、彼の死まであと一冊。
2021/07/05
あいくん
☆☆☆「六の宮の姫君」「お富の貞操」「大道寺信輔の半生」など35編が収められています。解説は中村光夫さんです。「六の宮の姫君」は今昔物語集から採られています。六の宮がどこか不明だそうですが京の都です。六の宮の姫君は運命のままに流されます。哀れです。「なりゆきに任せるしかない」と思っています。男が陸奥に去って行って、5年で戻ってくると言い残します。ところが戻ってきません。男は陸奥から常陸に移り、新しい妻が出来ていました。男は9年経って京へ帰ります。男は姫を探しますから忘れていたわけではありません。
2020/05/14
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