芥川龍之介全集〈6〉 (ちくま文庫)
芥川龍之介全集〈6〉 (ちくま文庫) / 感想・レビュー
優希
小説の最後の巻になります。死を意識し始めた頃の作品だからでしょうか、全体的に追い詰められていくような印象を受けました。その不吉な色彩に苦しさすら感じました。そんな中でも『河童』のようなユニークな作品が若干とはいえ、書かれているのが救いです。
2020/03/22
優希
全体的に暗い色彩を感じました。死を意識し始めたからでしょうか。死がテーマになっている作品が見受けられます。悲鳴すら聞こえそうでした。そんな中でも『河童』のような皮肉のきいた作品を描いているのが救いです。
2023/03/21
ころこ
『玄鶴山房』妾が出てくるが、若い読者は毛嫌いせずに、商取引だと思えばよい。本家が買い、妾が売る。本家にとっては割安で買える。それを売り手の妾は…恐らく知っている。知っているが義理を立てている。建前通りに取引が成立してくれれば…ところが、武夫(本家)が文太郎(妾)をいじめることで場の空気が揺らぐ。建前を逆転させた本音の無意識が子供の力関係に投影されるのが鮮やかだ。妾の怒るという行為が、いつ本当に感情の爆発として発露するか、本家は冷や冷やとする。漱石の弟子と言われているが、それぞれの立場の人物の様子が陰鬱でい
2023/01/27
r.ramone
「やべえもうすぐ死ぬ」と思わせるような作品ばかり。でもどれも面白い。『河童』を愛してやまない河童忌生まれ。
2021/09/29
Y2K☮
著者は「独りビートルズ」だ。短い活動期間の中で作品の傾向が著しく変わり、しかもその全てが秀逸。故に何を白眉とするかの意見が大きく分かれる。本書は全集ならではの玉石混交。多分にメカニックな発表順収録。だからこそ「蜃気楼」「河童」の並びに驚愕。やはりこの二作が彼の最高傑作だ。生活人芥川の静かな疲弊と芸術家芥川の鈍らぬ切っ先。自然主義や長編に挑む中で本来のフォームを忘れた? そう思ったのは本人だけ。「歯車」に確たる自殺の意志を感じるも「闇中問答」で揺り戻し。分かっていても「或阿呆の一生」の「敗北」に力が抜けた。
2018/10/14
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