タクシードライバー日誌 (ちくま文庫 り 1-1)
タクシードライバー日誌 (ちくま文庫 り 1-1) / 感想・レビュー
おさむ
ロバート・デ・ニーロの怪演が光った「タクシー・ドライバー」の舞台はNYでしたが、こちらは東京。ドキュメンタリータッチで描かれる運転手の労働環境は、まさに劣悪そのもの。交通事故は日常茶飯事。歩合制の低賃金、強盗に狙われる恐怖……。いまから30年以上前の作品ですが、タクシーを取り巻く環境の過酷さはあまり変わっていないんでしょうね。
2015/10/27
なる
作家になる前にタクシードライバーを経験していた著者が、その体験を冷静に綴っている日記。実際に働いてみてわかったヒエラルキーの底にあるタクシードライバーという職種の苦悩が淡々とした文章で描かれている。タクシーを運転するために必要な技量の難しさ、警察との戦い、事故に遭った時のエピソード、同業者との関係など内側のことがよくわかる。変わった乗客との遭遇といったことはどちらかというと少なめで、それでいてエンタテインメント性に富んだ作品となっているのはさすが。古い時代の作品だが取り巻く状況はさらに悪化しているだろう。
2023/08/06
Tomomi Yazaki
C級 著者の言うとおり警察は交通違反のドライバーを捕まえる為に、姑息で汚い手段を往々にして使っている。が、それにしてもこのドライバーは違反が多すぎで、それに比例して事故も多い。一時停止や一方通行を守っていたら日が暮れるという考えは、随分と世間ずれしており、失礼とは思うが、思考回路がおかしいと思う。挙句の果てに逮捕までされ、これが日常だと思われたら、他のまじめなタクシードライバーの立つ瀬がない。とてもとても、共感できない一冊でした。
2017/08/12
薫
事業に失敗し、食うや寝るやもままならない程困窮した在日朝鮮人である作者が、再起を目指してタクシードライバーになる話。本書では如何にタクシードライバーという職業が苦しいかが書かれている。労働条件は24時間働かなければ生計が立たないほど悪いし、労働環境はいつ事故を起こすか喧嘩に巻き込まれるか分からずあまつさえ様々な職業病を発症してしまう酷さ。統計や資料に基づいたタクシードライバーから見る世相への考察と、てめーふざけんなこの野郎が上手く交じりあった読みやすい一冊。解説は崔洋一。
2012/07/31
oreyuni
梁 石日の2冊目。「血と骨」を読んだ後だったので、今回の小説はかなりソフトだった。梁 石日の30歳代を描いた内容。今はよくわかりませんが、当時はタクシードライバーという商売は大変だったんだなぁ。ちょうどその頃、バイト先でタクシードライバーの人と仲良くしていた。多くの人は個性豊かだった。
2011/01/12
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