合葬 (ちくま文庫)
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合葬 (ちくま文庫) / 感想・レビュー
折田楓そっくりおじさん・寺
30年ぶりに再読。こんな話だっけ(笑)。文庫の漫画本と言えば、厚めの紙が主流だが、ちくま文庫は昔は、活字本と同じ紙に漫画を印刷していた。今もこの本や水木しげる『河童の三平』は厚い紙に変えていないみたいで懐かしい。幕末の江戸、上野の彰義隊に参加した若者達の青春。活劇ではない。その分戦死姿もリアルである。ここに杉浦日向子がしっかりと描きつけた江戸風俗が根こそぎ無くなっていくのが近代だったのだ。だからこそしっかりと描きつけもするのだろう。有名人はほぼ出ない幕末もの。斜視の女将の色気が妙にリアルで恥ずかしい。
2018/09/13
優希
滅びゆく江戸の風俗が美しかったです。時代の転換期に一瞬の若さで過ぎ去った彰義隊に視点を当てていたからでしょうか。儚くも散ってゆく青年たちの魂が心に刺さりました。純真無垢が故に時代に翻弄され、死んでゆく姿は痛みですらあります。救いようのない運命の時代が感じられました。
2018/04/09
ムッネニーク
47冊目『合葬(がっそう)』(杉浦日向子 著、1987年12月、筑摩書店) 江戸風俗研究家でもある漫画家、杉浦日向子の代表作。彰義隊に所属する幼なじみ3人の運命を描き出す。 上野戦争を舞台とした合戦絵巻であり、物語が進むにつれ若人たちの危うい血気がむんむんと立ち上がってくる。そして、その緊張感がピークに達すると同時に全ては儚く消え失せる。戦争に散った若き隊士たちへ捧げられた、まるで線香花火のような哀歌である。 お世辞にも絵が上手いとは言えないが、爽やかで時に耽美的なタッチが胸を打つ。 〈あゝ 鳳凰が。〉
2024/04/05
紫羊
二十代の頃、新選組が好きで、土方歳三の足跡を追って函館まで行ったりもしましたが、彰義隊のことはあまり詳しく知りませんでした。杉浦日向子さんの二十代前半の作品とのこと。「百物語」「百日紅」といった傑作の予感が随所にうかがわれます。
2016/11/19
shizuka
映画『合葬』を見たので、おさらいを兼ねて再読。極、うまく演じられていたとおもう。柳良くんは極に成りきってた。あの冷たい妖艶さ。いい役者になった。だいたい原書に忠実だったけど、ところどころ創作が。しょうがないことかもしれないけれど。最後、砂世と極の逢瀬はすっごいきれいな映像ではあるけれど、なんか物語を陳腐にしてしまっていたな。でもってそれがもとで兄さんを死に追いやるとか。ちょっとー。話が変わってしまう。あ、気づけば映画の感想になってしまっている。やっぱ杉浦さんが描く絶妙の間合いは、漫画ならではだ。敵わない。
2016/08/16
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