江戸へようこそ (ちくま文庫 す 2-2)
江戸へようこそ (ちくま文庫 す 2-2) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
吉原と浮世絵と戯作から、江戸の本質を浮き彫りにする。「傾城に真があって運のつき」―遊客たちは遊女に「真」を求めながらも「真」を巧みにかわしてゆく。「本気」は野暮なのだ。浮世絵のキーワードもまた「有体に描きては興無きものなり」―ここでも本気はやはり野暮。杉浦日向子さんは、ほんとうに「いき」な人だった。江戸の「いき」と「いなせ」の継承者にして体現者だった。春画の見方も彼女に教わった。そうなのか。触って楽しむものだったのか。価値観が変容を要求する。目からウロコのエッセイであるとともに、失われた江戸を懐かしむ。
2015/07/08
優希
面白かったです。江戸の風俗で遊ぼうという意思が伝わってきました。江戸の人たちを好奇心旺盛且つ粋に描き出していて、その空気に浸っているうちに一緒に江戸の空気の中にいるような気分になりました。江戸にふらっと遊びに行って、お土産をもらった感覚に陥ります。江戸がますますマイブームになりそうです。
2016/12/04
小梅
杉浦日向子さん、生きていたら還暦かな? 泉麻人の解説で、杉浦日向子さんは西武新宿線の武蔵関に住んでいたらしい。学生の頃に、すれ違ってたりしたかもな…
2019/01/10
メタボン
☆☆☆☆ 杉浦日向子が荒俣宏の妻だったとは知らなかった。博学夫妻だったんですね。早すぎる死が残念すぎる。もっともっと江戸に対する考察を深めて紹介してほしかった。ありんす言葉が島原弁から来ていること、遊女の手練手管、心中の意味合い、春画の世界など興味が尽きなかった。何よりも徳川春町の金々先生栄花夢という黄表紙が奥が深くて面白かった。対談は雑駁な放言という感じで今ひとつ。
2020/06/20
Roko
江戸のことが大好きだから、もの凄く勉強したけど、大好きなところもあるけど、今の方が便利なことだってあるから、決してその時代に暮らしたいと思ってるわけじゃないという杉浦さんのスタンスが、キッパリしていてとても心地よいんです。杉浦さんは、江戸に対するノスタルジーではなく、「江戸の精神」を愛したからなんだという所がいいんだろうなぁ。
2023/12/03
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