ゼロ番区の囚人 (ちくま文庫 か 8-1)
ゼロ番区の囚人 (ちくま文庫 か 8-1) / 感想・レビュー
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『精神科医になりたてのころ、東京拘置所の医官となって二年半をすごし』『監獄にいる夢をよく見る』作者曰くの『自分がとらわれている場合もあるが、看守になっている場合もある。囚人と看守とは私の夢では、入れ替えが可能だ』この点がキモなのだろう.即ち,囚人を主役とする二編に前後を挟まれた「制服」.謂れのない(はずの)強迫観念に囚われた看守が娑婆の百貨店を右往左往する、その様の笑えない迫真性。ルールの運行の内部に捕えられているという意味では、監視者も被監視者も表裏一体のメビウスの輪を回っているに過ぎないのかもしれず。
2016/02/12
青
私の知らない日常。看守と囚人。獄中。他人に生死の決定を握られるゼロ番区の囚人たち。全て監獄が舞台だが、3編の短編それぞれに語る立場が違う。変なところで区切らず、1話ずつ通して読んだ方がよかったかも。
2013/05/10
GB
死刑について3つの視点から描かれたもの。答えなんてこの先も出ないんだろうな。
2010/03/07
なおぱんだ
著者は精神科医であり、拘置所の医官を勤めた経験を基にこの作品を書いたそうです。「ゼロ番区」とは、番号の末尾にゼロがついた死刑囚などの重罪犯を収容する監房を指す言葉で、著者の実体験から書いたとあとがきに記されてます。この作品は3つの中編小説から成っており、精神科医としての視点から人間が精神的疾患により荒廃していく状況を描いた部分はとてもリアルです。刑務所という隔離された空間を舞台に、人間の精神のもろさを主題にしたこれらの小説を読み終わった後は、恐怖感さえ覚えます。
2010/05/29
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