柳田國男全集 19 (ちくま文庫 や 6-19)
柳田國男全集 19 (ちくま文庫 や 6-19) / 感想・レビュー
Soma Oishi
柳田国男とハイデガー ハイデガー「存在と時間」の新訳が岩波から出ていたので読んでみてかなり面白かった。その中に「気配り」と言うものが出てくる。柳田国男を読むと柳田が「気配り」というものであることが理解できる。では「気配り」とは何であるか。柳田は帰納法の人である。帰納法とは悟性の能力を高めることにより世界を見て取る姿勢である。それは反省でありソクラテスの言う「汝自身に配慮する」ことである。反省により自己・世界・学問は改善される。それは反省に依り自分を含む世界に配慮することにより改善を目指す姿勢である。そ
2014/11/23
はるぴょん(ひらた)
「蝸牛考」は方言周圏論を打ち出した論文として夙に名高く、言葉の変化の道程を丹念に考察していて興味深い。「西は何方」はこれを蚕や蜘蛛などのいくつかの言葉に応用した例の集成。ただ、「蝸牛考」に比べるとやや冗漫、退屈な感がした。「毎日の言葉」はこの間角川文庫で読んだので読まず。民俗学の切れ味鋭い論考に較べるとこれらの国語学的な論文群は幾分かおとなしめという印象がある。しかしながら全体を通じて言葉への愛惜の念が感じられる。私にはどうもここにあるのは詩人松岡國男の姿ではないかと思われる。
2020/01/01
感想・レビューをもっと見る