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ゑひもせす (ちくま文庫 す 2-3)

ゑひもせす (ちくま文庫 す 2-3)

ゑひもせす (ちくま文庫 す 2-3)

作家
杉浦日向子
出版社
筑摩書房
発売日
1990-08-01
ISBN
9784480024503
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ゑひもせす (ちくま文庫 す 2-3) / 感想・レビュー

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ムッネニーク

141冊目『ゑひもせす』(杉浦日向子 著、1990年7月、筑摩書房) デビュー作を含む初期作品集。絵巻物風漫画や忠臣蔵の実況見分など、著者にしか描けないユニークな作品が揃う。 江戸時代の庶民の生活を描くというスタンスは初期からすでに一貫している。円熟味すら感じさせる堂々とした短編ばかりなのだが、情報量が多すぎるので少々肩が凝る。天才の片鱗は見えるが、彼女の才能が真に開花するのはもう少し後の事である。 〈木瓜の実を たもとに入れた ままだ〉

2024/11/28

かっぱ

江戸が舞台の短編集。杉浦日向子がいとしき江戸のワタシラを描く。これを読んでいると江戸の生活が垣間見える。町人とお侍(武士)との関係性などがそこに住んでいるように伝わってくる。小野篁は井戸から地獄へ通っていたという伝説があるが、日向子さんは東京のどこかにある井戸から江戸へ通ってらしたのではないかと思えるぐらいに江戸人の生活感覚がわかっておられる。秀作ぞろいの作品集ですが、忠臣蔵の討ち入りを描いた「吉良供養」は起こった出来事が丁寧に順序立てられていて、映画や小説を読むよりも実感としてよく分かる素晴らしい作品。

2017/01/07

たまきら

江戸雀と二つ枕の中間みたいなかんじの絵で、これはこれで素敵です。江戸時代の生活を切り取った短編集の方も素敵ですが、墨田もんとしては吉良供養は外せない話です!

2023/11/07

tomi

江戸の庶民の暮らしを描いた初期の作品集。デビュー作の「通言室乃梅」など古典落語を思わせる作品も良いが、白眉は「吉良供養」。赤穂浪士の吉良邸討ち入りを吉良側からドキュメンタリータッチで描かれる。義挙とされるこの事件だが、40人近い吉良の無辜の忠臣を死傷させた、凄惨な大量殺人だったのだ。

2019/04/13

ぶんぶん

【再々読】どっぷり日向子ワールドに浸る、まだ慣れていない筆致が初々しい。 「通言室乃梅」のたどたどしい筆運びが、若書きの書きこみ過ぎが愛らしい。 どうも、皆さんは「吉良供養」を推すようだが、私は「もず」の婀娜っぽい別れのシーンに泣ける。 やるせない、どうにもならない、別れがここにある。 男女の仲の年増と若い二人の関係が身に抓まされる。 外で待っている若い娘の表情が次第に晴れて行く過程が見事。 ともあれ、日向子の初期短編集に酔いたい。

2021/05/01

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