ピーターとペーターの狭間で (ちくま文庫 あ 15-1)
ピーターとペーターの狭間で (ちくま文庫 あ 15-1) / 感想・レビュー
harass
以前から気になっていた本でようやく手に入れた。翻訳家のエッセイ集。読みたかった翻訳にまつわる裏話などには違いないが、いい意味で軽い記事がほとんどだった。勝手に思い込んでいたせいでもあるが、個人的に唸らせられた話はほんのちょっとだった。まあ一般向け雑誌用のエッセイであるし、翻訳ヲタ向けではないのからか。むむと思うところもあった。原作者は自分の書いた文章の意味をすべて心得ているわけではないという、著者の確信は正しいと思う。
2015/10/11
清少納言
言葉は難しい。だから翻訳は大変だ。本来の言葉の意味、日本での意味、時代背景ごとの意味、一つの言葉にはいく通りもの意味があり、それに追い付いていかなければ成り立たないというのは、想像を絶する。作者は、ポジティブで、文章も面白いので、すらすらと読める。30年前の本だが、作者が時代の先端をいっていたことが、よくわかる。「老人と海」が、「じいさんと海」では、なんか困ります(笑)
2014/07/02
三柴ゆよし
グルジアをジョージアと呼ぶなんて!という話。
2015/04/29
あかつや
翻訳家の青山南によるエッセイ。題は「各国固有の名詞は各国の発音通りに発音し、表記」するという「原音主義」から。イギリス人ならピーター、ドイツ人ならペーターというわけだ。こういう翻訳の細かい部分を面白おかしく紹介している。アメリカ南部の黒人訛りが翻訳で謎の東北弁になるのとかほんと不思議だよ。あとはこれが書かれた80年代後半時点の変な使われ方してる外来語の紹介が面白かった。さすがに古く、現代における使われ方ともまたズレてきていて、この言葉の変化そのものがすごく楽しい。それと使ってみたい汚い言葉、共感するわあ。
2019/09/10
タミイ
翻訳家の青山南さんが翻訳業や言葉、文学、あれやこれやを綴ったエッセイ集。掲載当時の「翻訳の世界」を毎月読んでいたので、懐かしく楽しく読ませてもらった。外国語を機械的に日本語にするのではなく、文学の背景や文化をひっくるめて「作品」の形のまま、私たちが味わえるように加工する文芸翻訳という仕事の難しさや奥深さ、また翻訳本制作の裏話も面白い。何より、青山氏独特の明るく大らかでユーモラスな文章がとても良い。
2016/12/24
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