神聖喜劇 第五巻 (ちくま文庫 お 16-5)
神聖喜劇 第五巻 (ちくま文庫 お 16-5) / 感想・レビュー
猫丸
終巻。ほんとうは誰かれかまわず薦めたい作品なのだが、なにしろ文庫版で2500ページ、さらに難読漢字びっしり、そして描写時点の頻繁なジャンプあり、ということで、軽く推薦できないのが惜しい。読了に30時間くらいはかかるだろうし。人生は短いのだし。さて、同調を優先して正論を考えると、ひどい愚論が出来上がるさまが現在進行中である。正しいことは心でわかる。その心はうまくチューニングされていなければならないにしても。そして正しさは形式的手続きによる証明を必要とする。その意味で「法」は極めて重要な論点である。
2022/04/14
勝浩1958
主人公東堂二等兵は我流虚無主義から自らを変革して、己の生に対して真摯に取り組む決意をすることでこの超大作は完結を迎えたのである。巻中、冬木二等兵自身の独白や某二等兵の懲罰の身代わりに東堂二等兵の共感者たちが名のりをあげるシーンは胸のすく思いがした。それにしても東堂二等兵と大前田軍曹は、最後はお互いに認め合っていたのではないかと、良いところは良い、ダメなところはダメと。とにかく『神聖喜劇』の世界を十分に堪能したのであります。
2013/05/03
小倉あずき
ついに読了。 こんなに長大な物語を読み終えたのに達成感よりも爽やかさを覚える不思議な読後感。作者は本作に20年の歳月費やしたというが、文体、筆致ともにぶれていないことに驚く。スタート時点でこのエンディングが用意されていたということであり、ラストに向けてはやる気持ちを抑えて抑えて書き上げるとはなんという精神力であろうか!脱帽。
2019/07/23
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