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パラノイア創造史 (ちくま文庫 あ 11-3)

パラノイア創造史 (ちくま文庫 あ 11-3)

パラノイア創造史 (ちくま文庫 あ 11-3)

作家
荒俣宏
出版社
筑摩書房
発売日
1991-12-01
ISBN
9784480025890
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パラノイア創造史 (ちくま文庫 あ 11-3) / 感想・レビュー

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tomi

例えばコナン・ドイルは妖精が見える家系だったようだ。幻視や妄想に憑かれ、天才と狂気の間を生きた人々の心理を考察する。地球を割る方法を大真面目に考え、電流を体に流す電気ショーを催した怪人物理学者・ニコラ・テスラ。新文字を発明した精神病者たち。幻聴から始まる夢野久作の怪作「ドグラ・マグラ」の背景等々。戦前の深川に出現した怪建築「二笑亭」の謎は、現在入手困難だが「二笑亭綺譚」も読んでみたい。

2022/02/05

耳クソ

「偉大なる記憶力の持ち主」の章が面白い。よくSFなどで語られる人間の大脳の使用効率の話は各感覚器官の処理能力とのバランスを考えれば何も不思議ではないという前提で、ボルヘスが「記憶の人フネス」に書いたような人物(シィー)が実際にいたことを紹介し、彼の記憶法=記号の物語化の方法や欠点、バランスを欠いた処理能力を持つ彼の苦悩が語られながら、その恵まれた「共感覚」から総合感覚的な「像」=絶対普遍記号=ライプニッツの夢見た完全言語を見出す。だがシィーには詩がわからなかった。彼の物語のなかに詩は在り得なかったのだ。

2022/03/03

拓也 ◆mOrYeBoQbw

コラム・エッセイ。心理学者フロイト、科学者テスラ、幻視家(かつ詩人)AE、妖精画家チャーズル・ドイル(コナン・ドイルの父)、その他、霊視発掘、異端派転生、脅威の記憶術、新言語/新文字・・・荒俣先生が収集した狂気と幻視、その先に別世界を視た天才達を取り上げたエッセイ集です。単純に芸術や心理学の話と思っていると、物理学者のテスラやウィリアム・マーチンが出てきたり、あるいは20世紀初頭の巨匠や政治的トップに大きな影響を与えてたりと、現実と狂気の狭間が”薄い壁”である事も感じられるのが面白い一冊です(・ω・)ノシ

2016/02/09

猫丸

再読。つまらぬ一般人カテゴリを踏み超えた人物伝。公的に偉人とされているのはニコラ・テスラくらいであり、他は病者の範疇に入れることが多いだろう。癲狂院に住んだ人の中でも意識変性のレベルは多層にわたり、創造的狂人として作品を遺すような「ちょうどよい」具合に留まることは難しいようだ。そのバランスの実現例として「勝手に個人文字を作ってしまう人の筆蹟(p.213)」は確かに極めて美しい。すぐれた芸術は感覚器官を一時的に幻惑する作用がある。幻覚・幻聴のなかに常在する人は芸術と親和性が高いのは当然といえる。

2021/06/26

不在証明

偉人の伝記で名を見かけるのはエジソンばかりだ。ニコラ・テスラの名を知る小学生などまずいない。最近『オカルティック・ナイン』というアニメを観たのも相まって、ニコラ・テスラの章が大変楽しめた。新たな発明品を思いついたら空想の段階で完成品を造りあげてしまうという変態ぶりを発揮し、地球を真っ二つに割る計画を立てたり数百万ボルトの放電の中で読書をしたり、とかなり頭がおかしい(褒め言葉)。他「奇妙な家を建てようとした男」の章と、精神病関連でドグラ・マグラに関する考察をしているのが興味深かった。

2018/02/19

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